人口で中国を抜き、今年世界一となる見込みのインド。今後も高成長が期待できるだけに、株式市場でも関心が高まっているが、投資を行う際には留意すべき点もある。特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#3では、インド株投資における「落とし穴」を解説するとともに、アナリスト厳選の投資銘柄を開陳する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
「BRICs」新造語から20年の今年
二大巨頭で人口世界一が逆転へ
「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」という造語が米投資銀行ゴールドマン・サックスの2003年のレポートで生み出されてから20年を迎えた今年。世界の勢力地図を塗り替えてきた新興国“四天王”のうち、二大巨頭のパワーバランスが大転換に直面することをご存じだろうか。
それは、経済成長の最重要ファクターの一つである「人口」を巡る逆転劇だ。中国とインドの22年の人口は共に14億人超だったが、僅差で中国が首位でインドは2位につけていた。ところが、国連によるとついに今年、インドが中国を抜いて世界一になるという。
中国は22年の人口が61年ぶりに減少。この先も人口減少時代に突入する見通しの一方、インドでは人口増が継続し、その差は当面開き続ける公算が大きい。
GDP(国内総生産)の規模で見れば、今世紀に入って急成長を遂げてきた中国にまだまだ分がある。何しろ、IMF(国際通貨基金)のデータによれば、直近のインドのGDP(ドルベース)は中国の約2割にとどまる。
ただし、裏を返せばそれだけ「伸びしろ」があるということ。実際、人口増を追い風として、今後のインドはさらなる高成長を続ける見通しだ。
みずほリサーチ&テクノロジーズの予測では、23年以降のインドの平均成長率は32年まで6%前後で推移する。これは、BRICsはおろか、ASEAN(東南アジア諸国連合)や他の先進国の中でも最も高い水準なのだ。インドの主要銘柄の値動きを示すSENSEX指数を見ても、過去30年で約25倍に急伸するなど勢いはすさまじい。
高い可能性を秘めているだけに、このところは金融機関の現場からも、インド株投資の営業を強化する動きが伝わってくる。
しかし、「ブームの米国株の次はインドだ!」と無防備に乗り出せば、痛い目に遭うかもしれない。魅力的な市場には違いないが、特有の注意すべき点があるからだ。
次ページでは、インド株投資において“落とし穴”にはまらないための注意点について、「インド市場の特性」と「株式の買い方」の二つのポイントから踏み込んで解説。さらに、長く外国株をウオッチするアナリストが厳選した、中長期投資に役立つインド株関連の3銘柄を明らかにする。