なぜ韓国人は「待つ」「並ぶ」が大嫌いなのか
韓国のケーブルテレビで、昨年から約1年間「行列のできる店」というグルメバラエティー番組が放送されていた。SNSなどで話題になり、行列ができるほど人気の食堂やカフェをタレントたちがレポートするという内容だ。時々この番組を見かけるたびに、韓国の変化を感じていた。
かつて、筆者がまだ日本に住んでいた頃、韓国人の友人が日本に遊びに来たことがあった。東京観光をした後、「回転ずしに行ってみたい」と言うので、都心にある回転ずし店に向かうと、ちょうど夕食の混雑する時間帯でもあり、待つことになった。店内の席が空くまで淡々と待つ人たちの姿を見て、友人が「日本人はこうして食事をするために待つことも平気なのか? 韓国なら混んだ店や、並んで待たなきゃいけない場合は、すぐに諦めて他に行く」と漏らしたのだ。結局、そのときは予想よりも早く席を案内されたので「回転ずし」の目的は果たせたが、思わぬところで友人がカルチャーショックを受けていたことが意外であった。
だが、韓国に住むようになってみると、韓国人は「食に対するこだわり」、すなわち、「食事はしっかりと食べなくてはいけない」という意識が特に強いということに気付かされた。このため、韓国に旅行に行くととにかく料理の量が多いことに驚かされる旅行者も多い。
家族や親しい人に電話をするときなど、日常会話においては「おいしく食事をしたか?」という質問とやり取りが自然に交わされる。また、「おなかをすかせる」ということは心身にとって「良くないこと」であり、そのようなときに「待たされる」ということはあり得ないと考えるのだと分かった。