一人の異動が止まれば
多くの異動が取り消しに
このようなアクシデントは、たまにあるらしい。
だが、異動が数珠つなぎになっていた場合は、やや深刻化する。Aさんが東京支店に行く。東京支店のBさんは大宮支店に行く。大宮支店のCさんは渋谷支店に行くなど、チェーンのようにつながっていれば、1人が成立しない場合、それに連なる全ての異動が取り消しになる。この取り消しによって、誰かの人生が大きく変わったかもしれない。出会いにも別れにもなったはずなのだから。
最近では、一応は異動の打診がある。「異動の可能性もあるよ」といった程度ではあるが。
私が2年ほど前にいた支店では、ある営業担当者が朝9時頃異動発令を受けた。ところが午後に取り消しとなった。後任でこちらに来るはずの女性営業担当者が実は妊娠しており、異動を断ったらしいのだ。
着任してわずか数カ月で産休、育児休暇に入る行員に後を任せることは難しい。取引先にとっても、早いスパンで担当者が何度も変わるのは失礼に当たるかもしれない。とはいえ、常日頃から女性に妊娠してますかと聞くわけにはいかない。身上把握はナーバスだ。場合によってはセクハラと訴えられることだってある。