持ち物や教育内容などで
経済的格差が生まれてしまう可能性

 また、里親制度は子どもに経済的基盤を与え、一人の子どもの将来を大きく変える機会となります。しかし、私たちの施設では創立時から里親制度は導入していません。というのも、同じ施設の中で里親がいる子といない子がいた場合、持ち物や教育内容などで経済的格差が生まれてしまう可能性があるためです。施設側がそこまで十分に配慮できているかどうかも、支援先を見極める点として挙げておきます。

 里親制度を導入している施設に見学者が来たときに、里親のいない子が里親になってもらおうと見学者にこびるという悲しい現状を耳にしたこともあります。こんな話を聞くたびに現場で子どもに直接かかわる大人と外から支援する大人が手を取り、子どもを育む体制をつくることが重要だと感じます。

 個人的には、里親制度よりは経済困窮家庭に対して一律に支給する児童手当のようなものが導入されるのがベストだと思っていますが、対象者の選定や給付の方法などまだ課題も残っています。

 公的支援整備の過程において取り残される子どもたちがいる中、デヴィ夫人のような東南アジアにゆかりがあるセレブリティーな方が積極的に活動してくれたことに大きな意義を感じます。そして、近年経済発展著しいカンボジアでも夫人の行動をきっかけに現地の富裕層がチャリティーにもっと目を向けるようになり、カンボジア国民同士での支援活動が活発になることを願っています。