今回の解散風は一過性ではない?重要日程に透ける首相の本気度3月18日、共同記者会見を終え、握手する首相の岸田文雄(右)とドイツ首相のオラフ・ショルツ。岸田は1週間足らずの間に、3カ国と首脳会談を設定するという異例の日程を組んだ Photo:JIJI

 またぞろ永田町に妙な風が吹いている。一過性の季節風で終わるのか、それとも徐々に強まって台風にまで発達していくのか──。

 現状ではなお判定不能の星雲状態にある。ただ風を呼んだ原因だけははっきりしている。衆院解散権を持つ首相の岸田文雄が思わせぶりな行動を続けているからだ。

 3月14日夕、岸田はわざわざ自民党本部に出向いて自民党選対委員長の森山裕と会った。ここから永田町特有の臆測が飛び交うことになった。森山は衆院小選挙区定数の「10増10減」に伴う候補者調整の責任者。急ピッチの作業を続けてきて、8割以上の小選挙区で候補者を決めた。この日岸田は午前中に幹事長の茂木敏充とも官邸で会っていた。

「首相の方から選対委員長を訪ねたとなれば、話題は解散以外に考えられない」(自民党幹部)

 そして岸田はさらなる臆測を増幅させる動きを見せた。15日夜、東京・赤坂の日本料理店「梢」で自民党事務総長の元宿仁と約2時間にわたって懇談したことだ。

 元宿は元首相、田中角栄の幹事長時代にかばん持ちとして仕えて以来、自民党一筋。今や自民党の要石である。元首相、安倍晋三の長期政権を実現させた最大の功労者であるが、全ての行動基準は「自民党のため」。歴代首相も元宿の意見に耳を傾けて解散権行使の判断をしてきた。

 しかも翌16日は韓国大統領、尹錫悦との日韓首脳会談。韓国の大統領の来日は国際会議への出席を除けば12年ぶり。そんな重要日程を控える中で元宿と会えば、解散の二文字が頭をよぎる。