調べたい企業のリストを自動生成する

 TXの調査をする前に、試しにコロナ禍で売り上げが伸びた企業を調べてみよう。まずはChatGPTのチャットで、コロナ禍で業績を伸ばした会社をリストアップする。

 スプレッドシートのB2列以降に調べたい内容を記載する。例えば、「2019年の売上金額」「2021年の売上金額」「売上金額が掲載されているURL」といった具合だ。A2行以降には調べたい企業名を入力する。ChatGPTにリストアップしてもらった社名を入力しよう。

 A2セルに入力した企業の、B2に記載した内容を調べるなら、「=GPT($A2&"の"&B$1&"を教えて")」と入力する。他のセルにもこの式をコピーし、数式のみをコピーすればいい。「~を教えて」は「~を分かりやすくまとめて」や「300文字以下で教えて」など、自由にカスタマイズできる。

調べたいリストをChatGPTで作成する調べたいリストをChatGPTで作成する 拡大画像表示

ChatGPTが持っているデータは2021年9月まで

 ChatGPTが学習しているデータは、2021年9月まで(2023年4月頭現在)。つまり、それ以降の新しい情報は持っていない。そのため、当然、持っていない新しいデータが必要な質問には答えられない。無理に回答しようとして、トンチンカンな文章を返してくることもある。

 今回の例では、2019年と比較した2021年の売り上げを知りたかったのだが、学習時点では情報がなかったのだ。どこからか、予測データを引っ張ってきているのだが、無茶苦茶な内容になっていた。Zoomの2021年売り上げは約26億5000万ドルだったのだが、ChatGPTは2000億ドルと予想していたのだ。また、売上金額が掲載されているウェブページを確認したくてURLも聞いたのだが、どれもページが消えていて見ることができなかった。

 と、ここでは残念な結果を紹介したが、この程度はよくあること。今のジェネレーティブAIに完璧な結果を求めてはいけない。ここは質問の仕方、もしくは運が悪かったと考えて、別の調査方法に取りかかればいい。

コロナ禍前後の売り上げの推移をリサーチしてみたコロナ禍前後の売り上げの推移をリサーチしてみた 拡大画像表示

 では、TX(トータルエクスペリエンス)に注力している会社をリサーチしてみよう。まずは、ChatGPTで企業のリストを作り、スプレッドシートに項目を用意していく。

 ここでは「トータルエクスペリエンスの取り組み」「正式な英語の会社名」「URL」「会社概要」とした。文字数を調整したいなら、「=GPT($A5&"の"&B$1&"を400文字以下にまとめてください")」のように記載すればいい。

 今回はうまくいった。TXへの取り組み内容もざっと把握できるし、どんな会社かも大体分かる。スターバックスの正式名称やアマゾンのURLがバグっているが、この程度は自分で調べても大した手間ではない。

 このレベルのリサーチが、瞬時に終わるのは衝撃的だ。例えば、50企業くらいをリストアップする作業を誰かに依頼したら、どれだけの時間とコストがかかるだろう。丸1日で終わるだろうか? ChatGPTもミスをするが、果たして人間の場合、どのくらいミスをするだろう?

 ビジネスの資料作りにおいて、大体合っていると思われる情報をサクッと指示通りにまとめてくれるChatGPTは、予想以上に活躍してくれる。

 ちなみに、OpenAIのAPIを利用するには料金が発生する。アカウント作成時に3カ月間有効な5ドル分の利用権をもらえるので、まずは存分に試してみよう。仕事で使うのであれば、ほとんど無視できるコストだということは、すぐに分かるだろう。

TXに注力する企業10社について、「TXへの取り組み」「正式な社名の英語表記」「創業年」「URL」「会社概要」をまとめたもの。ChatGPT+Googleスプレッドシートで自動で生成したものだTXに注力する企業10社について、「TXへの取り組み」「正式な社名の英語表記」「創業年」「URL」「会社概要」をまとめたもの。ChatGPT+Googleスプレッドシートで自動で生成したものだ 拡大画像表示