大企業主導から中堅企業主導へ、多様化する「新しい」中小企業再編とは「中堅企業」主導で進む中小企業の再編統合の背景とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

中小企業のM&A
大企業が買い手の背景

 日本では、企業総数の99%を中小企業が占めると言われている。これら中小企業では、次世代経営者の育成が困難なこともあり、他社の傘下に収まる格好での事業承継が増えている。

 コロナ禍前から中小企業は苦しんでいた。中小企業庁の令和2年度の調査によれば、中小企業1社当たりの経常利益は、過去2年間で7500万円から6600万円へ落ち込んでいた。

 コロナ禍に加え、資源高や賃上げも追い打ちをかけている。一般化したリモートワークも、従業員管理やコミュニケーションの難化により、中小企業にとって負担増となっている。

 これらを背景に、中小企業の買い手として大企業の名前が挙がることが多い。中小企業のオーナーからすると、大企業グループに入ることで事業や従業員の安定が確保される。

 大企業から見ても、本業において外部の独立した中小企業と取引するよりも、中小企業を取り込むことで取引が内部化され、取引コストを減らす合理性がある。個別の契約や取引などの手間が省ける。

 中小企業の買い手を探すM&A仲介会社から見ても、大企業が買い手になることが好ましい。M&Aに慣れた大企業は、買収プロセスをスムーズに行い、買収を成功させる確率が高いからだ。

 こうして大企業を買い手として、中小企業がグループ化する形で業界再編が進んでいるのが現在の日本だ。これ自体を否定するつもりはないが、他の再編方法はないのだろうか。