銀行員は、役員になれなければ50代で銀行員という立場を追われる。一方で、地方の中小企業は慢性的な経営人材不足にあえいでいる。この需給の不均衡を解消するすべはないのか――。山梨中央銀行の支店長による駅弁業者の再建劇から、バンカーが企業の経営課題を解決しながら充実したセカンドキャリアを送るためのヒントを学ぶ。(共同通信編集委員 橋本卓典)
銀行員人生はたいてい50代で終了
充実した「第二の人生」のための光明とは?
銀行員人生は短い。執行役員になれなければ、50代で銀行員人生を終える。その後は関連会社や親密取引先に出向し、多くは年収が半分近くまで減ることになる。
他方、人口減少が加速する地方では、中小企業の生産性向上や賃上げが避けて通れない課題となっている。だが慢性的に経営人材が枯渇する中小企業では、それを自力で実現するのは簡単ではない。
ならば、地域金融機関で企業支援のノウハウを積んだバンカーが中小企業の経営に参画し、企業の経営課題を解決しながら充実したセカンドキャリアを送ることはできないだろうか。
本連載では今月と来月の2回にわたり、地域金融機関のバンカーがどう生きるべきか考えるための一つのエピソードを紹介する。
舞台は、山梨県の丸政。八ケ岳南麓を走るJR中央線の小淵沢駅から、本社の看板を眺めることができる食品メーカーだ。その経営をてこ入れすべく、山梨中央銀行のバンカーがいかに動き、何を得たかを整理してお届けする。