部長・課長の残酷 給料・出世・役職定年#17Photo:ViewStock/gettyimages

DXバブルで活況を呈するITベンダー業界。IT人材は引く手あまたで奪い合いになっている。ところが、その中でも給与事情では明暗が分かれており、年収格差が鮮明になっている。特集『部長・課長の残酷 給料・出世・役職定年』の#17では、絶好調の勝ち組ベンダー各社の部長・課長の給与事情を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎、竹田幸平)

「週刊ダイヤモンド」2023年4月1日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

DXバブルで絶好調のITベンダー
勝ち組3社でも年収格差は鮮明

「社内外から『GAFA予備校』とやゆされていますよ」──。

 そう言って苦笑するのはNTTデータの中堅社員だ。

 だぶついたシニア層のリストラなど日本企業の暗い話題が多い中、業績を急拡大させているのがシステム開発を担うITベンダーである。追い風はもちろん、産業界が「DX」(デジタルトランスフォーメーション)実現に向けて躍起になっていることだ。

 そんな業界内でも、優勝劣敗が生じている。既存のインフラ保守の比重が高かった富士通やNECは、これまで度重なるリストラに追い込まれてきた。最近は構造改革の成果が見え始めたものの、相対的に業績は伸び悩んできた。

 対照的に、ITコンサルティングを得意とする野村総合研究所(NRI)や、金融業界に強いNTTデータ、高速通信規格「5G」に強い伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)など、得意分野のあるITベンダーは順調に業績を伸ばしてきた。

 この3社は2022年3月期に、そろって最高益を更新している。23年3月期もNRIとNTTデータは増収増益を継続、CTCは営業利益が前年同期比減となったものの、受注高や売上収益、売上総利益は過去最高となっており、3社とも好調を保っている。

 日本各地で続出するDX案件に伴い、IT人材は引く手あまただ。“勝ち組”のITベンダーは製造業の中でも比較的給与が高い傾向にあるものの、冒頭の言葉が示すように、異業種も含めたDX人材の争奪戦が繰り広げられている。

 ところが、ITベンダー各社の社員に話を聞くと、「勝ち組」3社の中でも部長・課長の年収に差があり、明暗が分かれていることが明らかになった。

 次ページでは、勝ち組ITベンダー3社の社員の待遇を明らかにする。部長・課長に昇進した際に、最も高給を得られるのはどこだろうか。