次々と明るみに出た
中国による摘発・工作

 中国による摘発・工作は、最近次々と明るみに出ている。

 中国では、反スパイ法によりアステラス製薬の日本人拘束に次いで、米国ベインアンドカンパニーの上海事務所が中国当局にPCなどを押収され、尋問などされたというが、その理由は不明だという(アステラス製薬の件については、1日も早い解放を強く願う)。なお、反スパイ法は改正(改悪)され、7月に施行される。

 また、日本の大学に留学している香港出身の女子留学生が3月上旬、香港へ一時帰国した際に、香港国家安全維持法違反の疑いで治安当局に逮捕された。日本における留学中に、Facebookにて香港の独立を支持するメッセージを投稿したことが問題視されたというが、当局は、日本に留学する学生のSNSも当然監視しているだろう。

 香港国家安全維持法は2020年に施行された。国家分裂や外国勢力との結託などの行為を国家安全に危害を加える犯罪と規定し、香港に恒久的な居住権を持たない者についても、域外で犯罪を行った場合は適用すると明記しており、我々日本人が日本で行った言動も対象となる。

 筆者の周辺においても、反体制思想をSNSで発信していた中国人留学生が、SNSでの発信をやめ、突如帰国したケースがあった。この件については、同留学生に中国人の“彼女”ができた途端起こった動きであり、さらに“彼女”と中国当局との関係も確認できていることから、何らかの作用が働いたと疑わざるを得ない。

 そして、先述の中国非公式警察問題である。

 中国の非公式警察拠点は、日本を含む欧米諸国53カ国、102カ所に設置されているといわれており、 日本においては、外務省などの発表によれば、国内に2カ所(東京・秋葉原、福岡)に非公式警察が存在するとされており、その他にも東京・銀座、名古屋、大阪に拠点があると推察される。

 その他、中国への技術流出も深刻だ。

 日本においてあまり大きく報道されていないのが不思議だが、国内電子機器メーカーに勤務していた中国人男性技術者が昨年、スマート農業の情報を日本から不正に持ち出したとして、警察当局が不正競争防止法違反容疑で捜査していたことが明らかになっており、中国による技術窃取は依然として活発に行われている。