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人見知りで口下手、「話しにくい」と言われ、就職活動もうまくいかなかった筆者が、劇団四季で主役を務め、今では多くの人の前で講演・研修する「話し方」のプロに大変身。人を惹きつける話し方を身に付けるには、「話す」より「聞く」を優先させることが大事だと言います。うまい「聞き方」のポイントを紹介します。※本稿は、佐藤政樹『人を「惹きつける」話し方』(プレジデント社)の一部を抜粋・編集したものです。
今に集中して「まず聞く」
人はなかなか話を聞けない
あなたにお聞きします。
相手が話している最中に「メリットが感じられない」「結論はまだなのか」「面白くないなぁ」と判断して、以下のような行動をしてしまったことはありませんか?
○右から左に聞き流した
○興味がある別の情報に意識が飛んでしまった
○話の途中でわかったつもりになって、自分の話をかぶせた
おそらく、身に覚えがあるでしょう。このようなときはまさに話を聞いていません。
実は、人の話を聞くことは、自分が思った以上に難しいのです。だからこそ、まず聞くを徹底的に意識する必要があります。
海水浴でビーチボールを海面に置いて手を離したら、ボールはすぐに自分から離れてゆらゆらとどこかに漂っていってしまいますよね。それと同じように、あなたの聞く意識もちょっと気を抜いたらすぐに自分から離れていってしまうのです。
聞くことができない理由は、実は非常にシンプル。それは、あなたの聞く意識を“今”にとどめることができていないからです。
では、どのようにすればよいのか。それが、以下の1、2、3です。
1 今に意識を向けて集中する
2 未来や過去の出来事や他の興味に意識が向いてしまったら今に戻る
3 この繰り返し
以上です。「聞く力」の高い人はこれを知っているか、無意識のうちにやっています。
「次のセリフ」の準備をしていないか
「佐藤君は聞けていないよ。聞かずに、次の自分のセリフのことを考えて、準備してる。自覚はある?」。
これは私が劇団四季に入ってすぐに、ある先輩からかけられた言葉です。
私が入団一年目に子ども向けのミュージカルで、幸運にも一言セリフのある役を務めたときのことです。主役のセリフを聞いてから、「それみろ、おれたちをやっつけにきたことに間違いねぇ!」と主役を問い詰めるのが私の役目でした。
私は、無意識のうちに、今この瞬間ではなく、未来の自分のセリフに意識を向けてしまっていたことに気づきました。間違えるのを恐れて、前のセリフをきちんと聞かず、頭の中に用意した自分のセリフを、順番が来たタイミングで口に出していただけだったのです。
これと同じように、相手が話している間に自分の言いたいことが頭に浮かんだり、「自分の順番が来たらどう話そう……」という考えに支配されたり、相手の話をさえぎって、かぶせてしまうことは、本当によくあると思います。
しかし、今に意識を向けて集中することが、“聞く”ときには大切です。
一流の俳優は、たとえ1000人の観衆がいようとも、目の前の相手の話を一言も聞き逃しません。
今、この瞬間に意識を集中して、相手の話を最後まで聞きます。そうすれば、自分が次に話す言葉を用意しなくても、言葉が内側から自然と出てくるのです。
ちなみに、家族やパートナーなどの近い関係であればあるほど、集中して聞くのが難しくなりがちです。だからこそ、練習台にはもってこいです。身近な人が自分の「聞く力」を高めてくれると思って、最後まで集中して聞いてみましょう。
大事なのは、話すのではなく“聞く”を優先させる。もし聞く意識が離れていったら、それに気づいて、“今”に戻す練習をしてみましょう。
相手の話を引き出す
意外とできていない基本動作
2つ目の「相手の話を引き出す」ポイントは3つです。
聞き方の3つのポイント
1:目を見る
2:うなずく
3:反応する
「こんなこと誰でも知っていることだよ」。こう思ったかもしれませんね。しかし、誰にでもできる基本的なこの3つのポイントができていない人が多いような気がしています。
1:目を見る
“見る”とは「私はあなたの話に興味を持っていますよ」という明確な合図を送ることです。
視線を合わせないと、それだけで不誠実だと感じられてしまいます。
どうしても目を見れないなら、相手の眉間の少し上を見る習慣をつけてみましょう。それでも十分です。相手からすると、目を見てくれていると感じるものです。
まずは家族など近い関係の方に練習をお願いしてみましょう。目を直接見て話してもらうパターンと眉間の少し上を見て話してもらうパターンそれぞれをお願いしてみてください。眉間の少し上を見られる方が柔らかい印象を感じると思います。
2:うなずく
うなずきながら相手の話を聞きます。このとき、形だけのうなずきにならないように注意しましょう。うなずくからには必ず理由を持つように心がけてみてください。「共感した」「興味を持った」「納得した」などなんでもOKです。
言葉も行動もこの点では似ています。嬉しくてルンルンな気持ちになったからスキップをする。最高の達成感を味わったからガッツポーズをする。動きが起こるからには必ずその理由があるという原則を忘れないようにしましょう。
うなずくと1の“見る”が自然にできるようになります。
3:反応する
会話の途中に声に出して反応していきましょう。「えー!」「そうなんですね」「へぇ」「ホントですか」「それから、それから?」などです。音楽のジャズで、さまざまな楽器がアドリブで呼応しあって、ハーモニーが生まれているのと同じです。反応して相手から言葉を引き出しましょう。ちなみに、複数人での会食が苦手な方は、ひたすら聞き手に回って反応していれば居心地の悪さが軽減します。
この3つをきちんとできている人は、あまりいないように見受けられます。話している立場からすると、反応がある人には自然と目が向きます。それだけで「その他大勢の受講生」から一瞬で抜け出すことができますよ。オンラインでの会話は絶好の練習と思って、ぜひこの機会に意識してみましょう。
「聞く」は形から入ってもOK
これまでの人生の中で面接などを受けたことがあると思います。
面接官があなたの話にまったく反応せず、表情も変えずに、ただじーっと見つめてきたらどのような気持ちになりますか?
「うっ、話しづらい……」
「圧迫されているようで辛い……」
「早くこの場から立ち去りたい……」
きっとこのように感じると思います。
逆にその面接官があなたの話を「そうなんですね」「うん、うん」と目を見てあいづちを打って聞いてくれたらどうでしょう。話しやすいだけでなく、思った以上の力が発揮できる気がするのではないでしょうか。このように聞く姿勢は、話す相手に大きな影響を与えます。







