新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことで、コロナ禍によって大打撃を受けた業界・企業の業績の完全復活に対する期待が高まってきた。上場70社超、23業界を上回る月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2023年3月度の総合スーパー編だ。
イオンとイトーヨーカ堂が勝ち組でユニーが独り負け?
総合スーパーの主要3社が発表した3月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯イオンリテール(イオン)の既存店売上高
3月度:同102.2%(2.2%増)
◯イトーヨーカ堂(セブン&アイ・ホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
3月度:同101.2%(1.2%増)
◯ユニー(パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス〈PPIH〉)の既存店売上高
3月度:同95.8%(4.2%減)
イオンとイトーヨーカ堂が前年実績を上回った一方、ユニーのみ減収となった。なお、3月度だけでなく2月度、1月度を見ても、イオンとイトーヨーカ堂が前年実績を上回った一方、ユニーのみ前年割れが続いた。
しかし、ここで「イオンとイトーヨーカ堂が勝ち組、ユニーが独り負け」と断定するのは早合点である。19年以降、新型コロナウイルス禍の影響を受けて業績を悪化させた業界が多い中、小売業界は巣ごもり需要が追い風になった面と、行動制限による逆風の両面の影響を受けている。そのため、コロナ前の実績と比較した「実態値」を確認していくことが重要だ。
次のページでは、3社の「実態値」を比較・分析する。すると、意外な実態が明らかとなった。