逆イールドに手を出すなPhoto:Historical/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)が長期債利回りを上回る水準まで短期金利を引き上げた場合、通常は景気後退が近いところまで金融政策を引き締めた兆候であることが多い。足元で経済はリセッション(景気後退)入りする運命にあるとの見方が広がっているのも、逆イールド(長短金利の逆転)が持つこうした予知能力への信頼があるからこそだ。

 だが、逆イールドの発生がFRBが金利を高く上げすぎたとの理由からではなく、長期債利回りが低すぎるためであったらどうか?

 景気後退入りを予想する上で、利回り曲線のどこに注目するかは個人差がある。一部は2年・10年債の利回り差を注視する。こちらは昨年7月に逆転した。だが、2年・10年債で逆イールドが発生しても、景気後退に陥らなかったこともある。歴史的に景気後退をより正確に予測してきたのが3カ月物短期証券(Tビル)と10年債の利回り差だ。こちらも昨秋に逆転するまでは一定の安心感を与えていた。3カ月物Tビルの利回りは現在およそ5.2%であるのに対し、10年債利回りは3.5%だ。