東京海上日動あんしん生命で
4.1億円に上る巨額な金銭不祥事
4月26日、東京海上日動あんしん生命保険が約50ページに上る報告書を公表した。22年末に保険業界を震撼させた、あんしん生命の元営業社員による巨額な金銭詐取事案についての調査報告だ。
この不祥事が発覚したのは2022年10月。その後、12月下旬に事案について公表し、23年1月10日には数々の大型企業不祥事で第三者委員会などを手掛け、辣腕を振るってきた國廣正弁護士を委員長とした特別調査委員会が発足した。
この事案、元営業社員による金銭不祥事の手口や4.1億円に上る金額の多さもさることながら、40ページを超える特別調査委員会の報告書が実に興味深い。
今回、金銭不祥事を起こしたのは、ライフパートナー(LP)と呼ばれる元営業社員。LPとは、保険契約者になりそうな見込み客を自ら探し出し、コンサルティングセールスを通じて保険を顧客に直接販売する営業外務員のことだ。そして報酬体系は、完全歩合制のフルコミッションとなっている。
LPの採用や教育、報酬体系などは、プルデンシャル生命保険やソニー生命保険のライフプランナーをお手本としており、あんしん生命は1997年にLPチャネルを立ち上げている。
今回の不祥事案には、元LPのコンプライアンス意識の欠如だけでなく、フルコミッション制度やあんしん生命の組織のありようにも深い爪痕を残すこととなった。次ページ以降では、その中身を仔細に見ていこう。