ニデック・京セラは「過去最高」の売上高2兆円超え、村田製作所は減収減益…明暗の訳Photo:Diamond

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はニデック(旧・日本電産)や村田製作所などの「電子部品」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

通期の増収率では
村田製作所が「独り負け」

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の電子部品業界4社。対象期間は2022年11月~23年3月の四半期としている(4社とも23年1~3月期)。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ニデック(旧・日本電産)
 増収率:6.3%(四半期の売上高5431億円)
・村田製作所
 増収率:マイナス19.7%(四半期の売上高3476億円)
・京セラ
 増収率:3.2%(四半期の売上高4988億円)
・TDK
 増収率:マイナス7.2%(四半期の売上高4719億円)

 電子部品業界の四半期増収率は、ニデックと京セラはプラス、村田製作所とTDKはマイナスという結果だった。

 各社の通期売上高(23年3月期累計)に目を向けると、ニデックと京セラの通期売上高は2兆円を突破し、両社そろって「過去最高」を更新した。

 また、23年1~3月期(23年3月期第4四半期)の四半期増収率はマイナスだったTDKも、通期売上高は前期実績を上回った。

 TDKの売上高は第3四半期までプラスで推移しており、それまでの“貯金”で第4四半期の減収をカバーした形だ。

 一方、村田製作所は上半期(22年4~9月期)累計では増収を維持していたものの、下半期(22年10月~23年3月期)に急失速。通期売上高では「独り負け減収」を喫した。

 なぜ、各社の間で明暗が分かれたのか。

 次ページ以降では、主に「京都御三家」と呼ばれるニデック、村田製作所、京セラについて、増収率に“格差”が生まれた要因を解説する。

 ただし、売上高の面では「勝ち組」となったニデックと京セラは現在、構造改革に資金を投下しており、通期の利益面は前期比でマイナスとなっている。その実態についても解説していく。