大学医学部と付属病院の診療科、研究室ごとに組織される大学医局は、教授を頂点とした人事ヒエラルキーが形成されている。教授の肩書で釣れる医師とは?若手にとって「勝ち組」とは?特集『今なら目指せる! 医学部&医者』(全24回)の#12は、大学医局員による覆面座談会の後編。大学病院勤務医師たちが、令和における医学部教授のリアルを明かす。(聞き手/フリーランス麻酔科医 筒井冨美、構成/ダイヤモンド編集部 野村聖子)
「絶対、教授になれない」
20代で分かってしまう医局も
――C先生は、順調にいけば数年後には教授になるのでは?
C医師 今いる大学は年功序列で、熾烈な教授選もないですからね。このまま行けばそう収まるんでしょう。ただ古巣のように大きな医局だとそうのんびりはしていなくて、先代教授の威光が強く働く。つまりは教授選で、先代教授が引き続き院政を敷けるような人間を次期教授に据えるべく根回しが行われるんです。
――古巣で教授を目指そうとは思わなかった?
C医師 古巣の大学は、伝統的に現教授と次期教授の年齢差がほぼ固定されています。だから、そのはざまの世代だと、20代の入局時点で「絶対、教授になれない」と分かってしまうんですよ。
――なるほど。まさに「鉄のおきて」があるわけですね。教授選って、助教レベルでも雰囲気はうかがい知れるものですか。
D医師 いや全然。よく「医局で教授選の結果を待つ上司とそれを気遣う部下」といったエピソードがありますけど、少なくともうちの大学は、下の人間が知らない間に決まっています。
――ちなみに、若手のA先生、B先生は教授を志していますか。