乗り合い代理店市場は、外資系生命保険会社に加えて、国内大手生保会社が子会社を設立して参入し、大激戦を繰り広げている。その中で絶好調なのが住友生命保険の子会社であるメディケア生命保険。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#14では、シェアトップを獲得できた理由を野村洋一社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)
商品改定が当たりシェア躍進
乗り合い代理店の攻略法とは?
生命保険業界で今、最も激戦区となっているのが乗り合い代理店市場だ。
乗り合い代理店は、来店型保険ショップ系と訪問型代理店系に大別できる。顧客はいずれのタイプの代理店でも、複数の保険会社の商品を比較・検討した上で加入することができる。
日系大手生保の営業職員チャネルは一社専属のため、当然ながら自身が所属する生保の商品しか提案できず、他社商品を同じ土俵で並べて比較し、提案することはできない。また、職場に押し掛けたり、場合によっては強引な勧誘をする営業職員もいたりする。
そうした従来型の保険募集にへきえきしていた若年層を中心に、乗り合い代理店が受け入れられてきたといえる。
一方、営業職員チャネルを主な販路としている日系大手生保は、若年層に敬遠されることに加え、多くの企業でセキュリティー強化が進み、かつてのように昼休みに契約者の職場を訪問し、同僚を紹介してもらうといった、鉄板の営業手法が使えなくなってきている。
そうした状況を打破すべく、日系大手生保は子会社生保を設立して、乗り合い代理店市場に進出。中でも早期に取り組んだのが住友生命保険で、子会社生保であるメディケア生命保険を設立したのは、2009年のことだった。
そのメディケアの直近2年の躍進ぶりはすさまじい。
20年4月に8年ぶりとなる医療保険の大改定が大当たり。医療保険「新メディフィットA(エース)」が医療保険分野のトップを奪取した。さらに6月には「メディフィットがん保険」を発売して、さらに勢いを付けた。
そんなメディケアを率いるのが、野村洋一社長だ。住友生命出身で、営業畑で実績を残してきたスペシャリストであり、メディケアの立ち上げにも関わった人物である。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、保険ショップの集客が難しくなっている中、高いシェアを維持しているメディケアの強さについて、野村社長に話を聞いた。
価格競争にはくみしない
愚直に総合力高める
――コロナ禍で保険ショップは集客が厳しくなっています。ショップを中心とした乗り合い代理店市場は踊り場なのではないかという指摘もありますが、どう見ていますか。
まだ踊り場と判断するのは早いと思います。以前にも、保険ショップの集客力が落ちると「保険ショップは頭打ちだ」と言われることが何度もありました。ですが、その後は盛り返し、実はそうではなかったということを繰り返しています。