住友生命保険の基幹商品である健康増進型保険「Vitality(バイタリティ)」。販売開始から約4年で100万件の契約を獲得したが、あくまでも目標は500万件の達成だ。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#13では、高田幸徳社長が目標達成の鍵だと語る販路の多様化の具体策について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)
当初の懐疑的な見方を覆して
バイタリティ100万件を突破
2018年7月、健康増進型保険である「Vitality(バイタリティ)」を発売した住友生命保険。累計販売件数が100万件を超えたと22年3月末に発表した。
健康増進型保険は、日々の運動など継続的な健康増進活動や健康診断の結果を評価し、その結果によって保険料が変動する保険だ。病気になるリスクそのものを減らしてくことに、主眼が置かれている。契約者は特典(リワード)として、保険料だけでなく、さまざまな商品やサービスを割引価格で得られることも特徴だ。
今では住友生命の看板商品として育ったが、同社が商品開発を始めた当初は、業界内では健康増進型保険が売れるかどうか懐疑的な目が向けられていた。
商品発売からさかのぼること2年前の16年7月、住友生命は健康増進型保険のパイオニアである南アフリカ共和国の金融サービス会社、ディスカバリーと提携し、商品開発を開始した。だが、保険は病気やけがをしたときに、初めて思い出すもの。普段の生活の中で、自分がどのような保障を受けられるのかなど、考えもしないという人がほとんどで、保険が「非日常」商品といわれるゆえんだ。
そのため、業界内の多くは、運動などの健康増進活動に励むことと保険は結び付かないのではないかと思ったものだ。
そんな中で、住友生命の高田幸徳社長は、バイタリティの開発と販売に初期から関わってきた。今や自他ともに認める“バイタリティ社長”である。
3万人を超える1社専属の営業職員を抱えるという強みがあるにせよ、販売開始から約4年間でバイタリティの累計販売件数が100万件を達成したことは、当初の懐疑的な見方を覆すに足る数字だろう。
だが、住友生命にとって、あくまで500万件が販売当初からの目標だ。その数字を達成するために、高田社長は販路の多様化が鍵だと力説する。
では、具体的に販路の多様化とは、何を意味するのだろうか。高田社長の胸の内を聞き出した。
バイタリティの提供チャネルを増やす
次期中期経営計画の最大のテーマに
――健康増進型保険の成功例があまりない中で、バイタリティは契約件数100万件に達しました。どう捉えていますか。
保険会社として、病気になったりする前に何ができるのかという視点が重要だと思っています。よりよく年を取る、病気の予防をする、ウェルビーイング(Well-being、幸福)に対して、私たちがどのように価値を提供できるのかということです。
そのための新たな施策を検討しています。