中国の経済活動再開も
韓国経済への波及は少ない
新型コロナの防疫緩和に伴い中国の経済活動が再開しても韓国企業の対中輸出は増えていない。中国経済は1~3月期に4.5%成長し復活の動きを示したが、韓国の輸出には何の効果もなかった。5月に入り20日までの韓国の対中輸出額は、コロナ防疫の真っ最中だった前年同期より23.4%減少した。今年1~4月の韓国の対中貿易赤字額は100億ドル(約1兆4000億円)に達する。
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中央日報が報じた漢陽大学国際大学院のキム・グァンソク教授の説明によれば、「(中国の)経済活動再開で消費は増えているが、韓国の輸出で半導体の割合が大きく、半導体については、中国の国内生産の拡大と半導体不況とが相まって、中国経済拡大の効果がほとんどない。また、中国製造業の技術力向上ですでに韓国製品の競争力が落ちた影響も少なくない」とのことである。このため中国経済が成長を継続しても、以前のように対中輸出額が大きく増えるのは難しいとの分析も出ている。
韓国は急成長している二次電池をはじめ、次世代半導体、ディスプレー、電気自動車、バイオヘルス産業の5大新成長分野ですでに中国に後れを取っているという。
韓国にとって米中対立の中で、中国寄りの姿勢を取っても中国製に切り捨てられていくことは、最近の中韓経済関係の流れを見れば自明である。韓国経済の未来にとって最善の道は、サムスンやSKが中国市場から締め出されないようにし、中国とのあつれきを最小限にコントロールしながら、日米などとの経済的関係を強化していくことだろう。
(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)