米中対立の板挟みになる
韓国の半導体メーカー
韓国の半導体産業は米中対立の板挟みとなっており、さらに深刻化する様相を呈している。
米国主導のIPEF(インド太平洋経済枠組みで昨年5月発足。日、米、韓、印、豪、ASEAN主要国など14カ国が加入)は5月27日、米デトロイトで開催した閣僚会合で、サプライチェーン協定に合意した。
これは半導体や重要鉱物といった物資を念頭に、一つ以上のパートナーが深刻なサプライチェーン危機に直面した場合、相互協力体制を稼働し、代替供給者を把握したり代替輸送経路を開発したりするなど安定供給の体制を整え、中国依存からの脱却につなげるものである。
また、これは「地域的な包括的経済連携(RCEP)」を主導してインド太平洋地域の経済的影響力拡大を図る中国の覇権的な動きをけん制する性格も有している。ただ、妥結を発表する声明に「デカップリング」という中国を排除する文言はなく、サプライチェーン危機に対応するために参加国の共同の努力を強化する「緩い協定」だという専門家の評価が多い。
一方中国は、安全保障を理由に、米国の半導体メモリーメーカーのマイクロン・テクノロジーを調達から排除した。調達先を国内生産や韓国製品で補うことで準備を進めており、そのため、韓国を中国との協力に引き込もうとしている。
韓国の半導体メーカーは、米中対立にあって最も脆弱(ぜいじゃく)な存在のようである。
朝鮮日報は社説で、「過去10年間に100兆ウォン(約10兆円)以上をつぎ込み、ついに『半導体崛起(くっき)』を成し遂げようとしている中国と、中国抜きの半導体サプライチェーンを完成させようとする米国の力比べは今後も続く可能性が高い。ますますエスカレートする可能性もある。その殺伐とした半導体戦争の中で、韓国は国益を最大化する賢明な選択を迫られる。私たちが情勢を左右するテコを持つためには、世界の技術競争で不可欠の重要技術を確保しなければならない」と論じている。