中韓2国間会談後の
発表文を巡り対立
米国による強硬な対中半導体制裁に対し、中国は反撃を開始した。しかし、中国側には焦りも見られる。米国から韓国を引き離そうとの動きもそのためと思われる。
中国商務省は韓国産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)通商交渉本部長と中国の王文濤商務相が米国デトロイトで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)通商会議で2国間会談を行った後、SNSで「半導体産業ネットワークとサプライチェーン安定などについて議論した。双方は半導体ネットワークとサプライチェーンの分野で対話と協力を強化することに同意した」と発表した。
その背景について、朝鮮日報は、中国の米制裁に対する反撃は「サムスン電子とSKハイニックスがDRAMを今後数年間供給しなければ成功しない」ため、韓国との協力は必須と判断しているのだろうと分析している。
だが、2国間会談後の中国側の発表に対し韓国側は直ちに「半導体サプライチェーンに関する具体的なやりとりはなかった」と反論した。
韓国側は、「これまでは安定的な通商関係のために韓中は最大限言及を自制してきたが、今回中国側は『発表文の末尾にファクト自体が誤っている内容まで盛り込んだ』」と反発した。
そして韓国側の発表では、「交易の円滑化と重要原材料・部品の需給安定化のための関心と支援を要請」し、「中国内の韓国投資企業の予測可能な事業環境づくりに向けた協力を要請した」と説明した。
韓国側の反発は、米国の反応を考慮した上のことだろう。米韓首脳会談の際、対中半導体規制の問題について具体的な譲歩は得られず、単に「緊密な協議を続ける」となっただけである。韓国側としては、米国に半導体の問題で中国と協力すると思われることは、今後の協議の障害となると考えているだろう。
朝鮮日報は、「中国は当面韓国を手招きするだろうが、独自の技術が確保できれば、いつでも韓国を切り捨てることができる」「米中のどちら側につくか悩むのではなく、結局は技術の超格差を維持することだけが韓国半導体の活路だ」との専門家の言葉を紹介している。