――景気の拡大が続いているとはいえ、米国には大規模なマイナスの需給ギャップが残存しており、成長ペースは不十分だ。米国での金融緩和が景気に与える効果は、どの程度だろうか。

 米国の金融緩和は規模が大きい上、FRBの卓越した市場とのコミュニケーション能力によって効果を高めていることから、成長支援効果はかなり大きい。FRB当局が緩和を示唆すると、期待インフレ率が上がって株価も反応する。金融政策にマーケットが素直に反応し易いという特徴がある。

 これが日本だと、市場が期待するような金融緩和が実施されてこなかったほか、日銀自身が「金融緩和をやってもあまり効果が望めない」などと、金融緩和の効果に否定的な発言を行っていたこともあり、市場の反応は良くなかった。

今年中は各国とも国債買い入れを継続
FRBが引き締めに転じるときが転機に

――FRBのみならず、ECBにも日銀にも言えることだが、中央銀行の国債買い入れに対しては、財政ファイナンスとの批判もある。近い将来、FRBも金融政策の方向転換を考えざるを得ない状況になるのではないか。そうなると、世界経済への影響も懸念される。

 むろん、経済が普通の状態であれば、どの国の中央銀行も国債の大量購入はやりたくないだろう。しかし、それをやらなければいけないほど世界は深刻な財政問題を抱え、需要不足を補う必要に迫られている。先進各国は、年内は非伝統的な金融政策を継続せざるを得ないだろう。

 問題となるのは、何年も先のことになると思うが、FRBが非伝統的な金融政策から脱却するときの影響だ。2016年に入ると、金融引き締めの可能性が高くなる。過去の例を見ると、米国が引き締めをやるとその後必ず何らかの大きな危機が顕在化している。繰り返しになるが、2013年中は景気に不安があって引き締めに入れないため、緩和気味の状態が続き、世界経済への悪影響はないと見る。

――これまでの分析から推察すると、2013年の米国景気はそれほど悪くないと言えるだろうか。

 財政の崖を回避できたことは、景気にプラス材料だが、緊縮財政によって成長率は大幅に抑制されるだろう。それでも、年初に減速した景気は年後半に向けて持ち直していくだろう。