「人事評価の適正感」スコアは
株式や売上高に影響を及ぼす
約23万人の中途社員が「人事制度が適正である」と評価した企業のランキングは、1位ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ、2位プルデンシャル生命保険、3位ネオ・コーポレーションという結果となった。ランキング全体では、コンサルティング、金融、メーカー、不動産、インターネットサービスなど業界業種を問わず多種多様な企業が並んだ。
このランキングにおける集計対象データ全体の「人事評価の適正感」スコアの平均点が2.82だったのに対し、上位30社の平均点は4.32と、全体と比べて2点近くの大きな差が生じていた。
上位3社の口コミを見てみよう(原文ママ)。
「Pay for Performanceという方針が一貫しているので、パフォーマンスが発揮できない人は普通に降格しますし、『年下の新卒の上司』ということも起こり得ます。(コンサルティング、男性、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)」
「完全実力主義。絶対評価のため数値基準に達した者がボーナスとして給料が増える仕組みであり、その点では非常に明快。(ライフプランナー、男性、プルデンシャル生命保険)」
「給料に上限がないため、稼げる人はとことん稼ぐことができる明確な制度が整っています。役職者数にも決まりがないため、役職の空きがない限り昇格することができないなんてこともありません。(営業、男性、ネオ・コーポレーション)」
ランクイン企業で働いた中途社員が投稿したクチコミを見てみると、完全な実力主義だったり、給与テーブルや評価基準が非常に明確でオープンである、また新卒・中途も関係ない雰囲気であるといった特徴が挙げられている。社員もその制度に納得、理解した上で業務に当たっている様子が見られた。
特に、不動産・生命保険の企業では完全成果主義・フルコミッション制が、また外資系企業では待遇の良さやオープンでフラットな評価制度が高評価につながっている。
人事評価制度は企業によってさまざまな個性や特徴、文化がある。その中で「この会社の人事制度は適正だ」という社員の納得感につながる要因は、不公平感を少なくする、評価結果を上司だけが知るというブラックボックス状態にしない、自社の制度が名ばかりで形骸化せずしっかり機能している、といったことがキーファクターといえそうだ。
OpenWorkのデータを活用した研究論文において、人事評価の適正感のスコアは働きがいのスコアと強い相関関係があり、それが企業の1年後の「株式パフォーマンス」と3年後の「売上高変化率」につながる可能性が高いと証明されている。人事評価の適正感を高めれば、実際に働く社員がやりがいを持って働く環境につながるだけでなく、自社の業績や株式評価にも影響を与える。
今後ますます活発化する中途採用市場において、どんな入社形態であっても自社で活躍できる、評価される人物像をしっかり定義し、そこから人事評価制度を設計して再考していくことが、企業経営においてますます求められていく。