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顧客を「ターゲット」と呼んでいる人が失敗する本質的な理由Photo: Adobe Stock

顧客を「ターゲット」と呼ぶのはNG

ビジネスはよく恋愛に例えられます。恋人に想いを伝えるように顧客にメッセージを伝えよう、顧客へのDMはラブレターである、など恋愛と重ねて考えるとうまくいくと語られることもありますね。ぼくもそれは一理あると思っています。ですが一方で、多くの企業が恋愛では絶対にしないようなことをビジネスでやっています。

たとえば、顧客対象のことをターゲットと呼びますよね。そして、ターゲットになんとか売り込もうとしています。

考えてみたら、ターゲットとは「」のことです。あなたが一方的に狙いを定め、一方的に射貫こうとしています。

つまり、相手の気持ちや考えはまったく無視して「あなたが私のターゲットだから」と勝手に、一方的に自分の商品を売りつけようとしています

こんな考え方で恋愛をしようとしたら、うまくいかないどころか、迷惑行為で警察を呼ばれかねないです。

これは単なる注意喚起ではありません。実際に対象顧客のことを「ターゲット」と呼ぶことで、弊害が起きています。

「的」の気持ちは考えなくなる

顧客は「的」であり、自分たちが狙いたい先です。となると、誰もその「的」の気持ちは考えなくなりますね。

その「的」が何を必要としているか、どんなことに困っているか、どんな商品を欲しいと思っているか、などは自然に頭から抜け落ちてしまうようになります。

「自分たちの商品はこのくらいの価格帯だから、そのお金を払える人を狙おう。自分たちのウリはこういうものだから、それを存分に伝えよう。相手が理解するまで粘り強く売り込もう」と考えるようになってしまうのです。

「顧客を設定する」本来の目的

ビジネスで対象顧客を設定する本来の目的は、自分たちがブレないようにするためです。

商品を作っていると、メインのお客さんだけでなく、もしかしたらこんな人たちにも買ってもらえるかも、こういう人たちにも売れるかも、と欲が出て皮算用を始めがちです。そして、「だったら商品にこんな要素を入れないと、デザインは万人受けするためにこうしよう」など、いろんなことを考え始めるようになります。

こうなると誰向けの商品かわからなくなってしまい、失敗します。

だから自分たちの軸がブレないように「常に見ている相手」を設定する。そういう意味でのターゲット(最終目標)であるべきなんです。

しかし今では多くのケースで、自社の商品を売り込みたい相手を勝手にターゲットと呼び、自分でも気づかないうちにストーカー的な売り込みをしてしまっています。