あなたの商品が売れない理由
以前、こんな経験をしました。ある調理器具を買いに家電量販店に行きました。いろんな機種が並んでいて、それぞれ独自の売りポイントを持っていました。その中で、他商品と比べてかなり高いものがありました。他と比べて、1.5倍くらいの値段です。なぜそんなに高いのか気になり、ちょうどメーカーの担当者さんがいたので理由を聞いてみました。その担当者さんの答えは「これは特殊な素材を使っているんです。だから高いんです」でした。
高い素材を使っていたら、商品も高くなりそうなのはわかります。ですが、それだけの価値がないと買いません。「価格が高いので、弊社としては年配の富裕層をターゲットにしています。都内のタワーマンションにご夫婦お2人で住んでいてお金にも余裕がありそうな方がターゲットです」「この素材を使っていることで、食パンも一度に6枚おいしく焼けるんです。分厚いステーキも柔らかくおいしく焼けます。こんな商品は今までありませんでしたよ」といろいろ得意げに語っていたのですが、そもそも話がおかしいです。
お金持ちを「ターゲット」にしたいのはわかりますが、その年配のご夫婦が食パンを6枚一度に食べるでしょうか? 分厚いステーキを頻繁に食べるのでしょうか? ぼくにはまったく想定ができません。
あなたが対象にしているのは「○○に困っている人・○○に悩んでいる人」
こうなってしまった原因は、相手を「ターゲット(的)」と呼ぶことにあるとぼくは感じています。自分たちが作った商品を誰に売り込むかという発想になってしまうからです。
まず、自社が作りたい(作れる)商品を考えます。自社の技術を使って他社と違う商品を企画します。ただ、それを作るとコストが上がってしまい販売価格が高くなってしまう。高くなっちゃうからそれを買える人をターゲットにしよう。そんな発想になっています。
たしかにお金に余裕がある老夫婦であれば、その商品を買えるかもしれません。しかし、「買える」のと「欲しい」のは違います。
相手をターゲットと呼ぶ癖がついているため、相手が何を欲しいかは考えず、常に自分が売りたいものが先に来てしまう。しかし現実にはその「的」は買ってくれません。常に狙われていますが、買いません。だから商品が売れなくなるんです。
あなたが対象にしている顧客を「的」と呼ぶのはやめましょう。
その代わりに違う言葉で表現しましょう。あなたが対象にしているのは「○○に困っている人・○○に悩んでいる人」です。
言葉を変えるだけで、それまで100%自分都合だった目線が、相手を考慮するようになります。