保険商品を販売するチャネルとして最も多くの営業職員(生保レディー)を抱える日本生命保険。生保レディーによる金銭詐取などが業界で相次いで発覚したが、日本生命は、生保レディー体制の拡大と強化を掲げる。特集『[激変]生保・損保・代理店 保険大国の限界』(全22回)の#8では、清水社長の強気の理由と保険営業の将来像について、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)
日本生命・清水社長が断言!
生保レディーが主力であり続ける理由
生命保険業界の盟主である日本生命保険は、営業職員(生保レディー)チャネルを持つ二十数社の中で、最も生保レディーの存在を重要視している生保といえるだろう。
その人数は、2023年3月末で5万0281人と業界最多。今後も人数を増やして体制を強化する方針だ。生保レディーの総数を大きく減らしてでも厳選採用を強化し、一人当たりの生産性を上げる方向にかじを切った第一生命保険をはじめ、人数の目安を明言しない他の大手生命保険とは一線を画している。
親族や友人知人を保険に加入させてすぐに退職する事例が多いのに加え、時に強引な営業を行う一部の生保レディーの影響で、かねて生保レディーに対する世間の目は厳しい。さらにここ数年は、頻発した金銭詐取事件により、さらに評判を下げている。
また、生保レディーに及ばないまでも、乗り合い代理店やインターネットでの保険販売など、新しい販売チャネルの成長が著しい。それでも日本生命の清水博社長は、生保の営業は生保レディーが主であり続けると言い切る。次ページで、その強気な将来像について、詳しく話を聞いた。
デジタルが増えれば増えるほど
対面営業の機会が増えていく
――営業職員チャネルをメインとした生保商品の流通構造は、今後、どのように変わっていくとお考えでしょうか。
新契約に加入する経路は、営業職員チャネルがだいたい5割を占め、残りは乗り合い代理店と銀行などの金融機関です。30~40年前は、7~8割が営業職員経由だったと思います。
一方で、営業職員か代理店かという見方ではなく、対面チャンネルかどうかでいうと見え方が異なります。インターネットなどの非対面チャネルはおそらく数%ぐらいのシェアで、30~40年前とさほど変わらず、二つの対面チャネルが新契約のほとんど占めています。この構図は、昔と変わっていません。