選別される生保・損保・代理店#7Photo by Yoshihisa Wada

今年3月に行われた経営戦略説明会の壇上で、日本生命保険の清水博社長は傘下の大樹生命保険について「低位な発展にとどまっている」と発言。日本生命グループ内だけではなく、業界内でもその厳しい評価の真意に注目が集まった。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#7では、清水社長に発言の真意について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)

業界が注目した大樹への評価
役員人事にも表れた“方針転換”

「独自の顧客基盤を十分に生かした営業職員活動ができていないことが、大樹生命が低位な発展にとどまっている原因の一つであると考えています」

 2022年3月に行われた日本生命保険の経営戦略説明会。その壇上で清水博社長が語った大樹生命保険への評価に対し、業界内はざわついた。大樹の現状について、これほどはっきりとした評価を公の場で述べたことはなかったからだ。

 大樹社内もしかり。日本生命が自社に対して、こうも厳しい評価を下していることは寝耳に水だったようだ。

 これまで日本生命は、自主独立をグループ経営の基本とし、子会社の経営について微に入り細に入り監督することはなかった。3月の大樹に対する発言は、その方針を転換することを宣言したものとも受け取れる。

 実際、22年度の大樹の役員新体制からは、その兆候も見られる。果たして、大樹に対する発言の真意は何か。加えて、生保王者としてのグループ経営手法や社長人事などについて、清水社長に話を聞いた。

「低位な発展」の真意を直撃
グローバルな低金利が遠因

――22年3月17日の経営戦略説明会で、大樹について「低位な発展にとどまっている」という評価を話されました。強い言葉でしたので、びっくりしました。

 冷静、客観的な評価です。

――前年の説明会では、大樹について危機感を持たれているような発言ではなかったので、順調な経営がなされているものだと思っていました。「低位な発展」という評価に至った背景には、何があったのでしょうか。

 評価が突然、短期間で変わったというわけではありません。経緯を含めて、私の考えをお話しします。