要因その3:
拡散・炎上は突然やって来るし、過去の投稿も対象になる

 迷惑動画・写真の投稿が繰り返される要因の三つ目は、拡散・炎上した投稿はごく一部であり、通常は同じような(迷惑)動画を投稿しても、拡散も炎上もしないケースがほとんどという事実だ。

 複数のSNSに日々膨大な数の投稿がなされる中、バズったり、炎上したりと話題になる投稿はほんのわずかだ。毎日のように、あるいは日に何回もSNS投稿をしている若者たちは、「友人や自分の投稿が、バズりも炎上もしない」という体験を日々積み重ねているのである。

 そうした状況は、ちょっとした悪ふざけ動画を撮影・投稿する心理的ハードルを下げていく。いくつも動画を撮影・投稿するうちに、ちょっとした悪ふざけが徐々に迷惑行為へとエスカレートしていっても、「これくらいなら大丈夫」または「これくらいやらないと目立たない」と感覚がマヒしていってしまうのだ。

 投稿が拡散力のあるアカウントの目に留まってしまってから、あわてて削除をしてももう遅い。動画や写真が一気に拡散され、炎上することになる。さらに、いったん何かの動画が炎上すると似たような投稿が掘り起こされるため、投稿時には問題にならなかった動画や写真が何年もたってから炎上することも起こり得るのがネットの厄介な点だ。

 今回の騒動でも、「くら寿司」でお皿をヘディングで回収口に入れたり、一度取った寿司をレーンに戻したりといった動画は、4年前の投稿が掘り起こされて炎上したものだ。また、「はま寿司」でガリの容器に自分の箸を直接突っ込んで食べるという動画も、実は1年半前のものだった。ちなみに、この件で「はま寿司」は謝罪の申し出を受け入れず、警察に被害届を提出した。

 ネットの海に投稿を放ってしまった以上、今日話題にならなくても、明日、1年後、5年後、あるいは10年後や20年後に炎上してしまうこともある。しかし若者たちは危機意識なく、炎上リスクの高い迷惑動画・写真を、そうとは認識しないまま投稿し続けてしまうのだ。