会議「前」にできること
会議「中」にうまい受け答えが即座にできなくても、会議「前」に準備できることがあります。たとえば、参加者のリストやアジェンダを早めに入手して、それを読み込んでおくことです。
そうすることで、会議の目的と、そこで自分が果たせる役割を把握することができます。
上司のサポート役を果たすべきなのか、他の部署と利害関係を争うのか、ただ座って聞いていても問題ないのか。それがわかっているかいないかで、会議での活躍度に雲泥の差が出ます。
事前準備が可能な会議については、必ず前もって戦略を立てておきましょう。
会議「後」にできること
せっかく話し合った内容を、会議後に誰もまとめなかったり、振り返らなかったりするケースは頻繁に起きます。
そんなときこそ、内向型の出番です。会議で挙がった課題を解決するための「to doリスト」を作りましょう。リストが完成したら上司に見せて、「このタスクを自分に担当させてください」と持ちかけてもいいと思います。
大事なのは会議に出ることではなく、会議の内容を次の仕事に生かすことです。その役割を積極的に果たせば、上司やチームメンバーからの信頼度はグッと高まります。
また、会議中には思いつかなかったアイデアが、会議後に浮かぶこともありますよね。そういう場合は、上司や同僚に「ふと思ったのですが、こんなアイデアはどうですか」とメールで提案しましょう。
発言回数があまり多くなくても、「仕事に真摯に取り組んでいる」ということを周りに伝えることができます。
「目標の30倍」ものクライアントを獲得できた理由
「内向型=営業トークが下手」と思い込んでいる人は多いです。でも私は、営業力や交渉力に秀でた内向型の人に数多く出会ってきました。
ビジネスの現場で大切なのは、自分が得意なことを把握して、そのアドバンテージを戦略的に生かすこと。これは、どんな場面でも通用する「鉄則」です。
私の成功例をお話しします。世界各国から数千人が集まって、4日間かけて開催する国際会議に出席したときのことです。
その会議での私の目標は、新しいクライアントを10件得ることでした。しかし、会場にいざ足を踏み入れてみると、参加者の数に圧倒されて萎縮してしまい、私はすぐホテルに逃げ帰ったんです。
会議の初日はそんな幕開けでしたが、最終的には、その4日間で、目標の10件どころか300件の新規クライアントを獲得することができました。
なぜそんなことができたのでしょうか?
私が何を工夫したのかというと、まず参加者の情報を調べ上げて、クライアント候補を5人リストアップしました。その上で、彼らと1対1で、コーヒーを片手に気軽に話せる場をセッティングしたんです。
私は多人数のグループトークよりも、コーヒーを飲みながら1対1で話し合うのが得意だということを自覚していたからです。
この戦略が奏功して、そのうちの1人が「うちには300人のメンバーがいるから、全員クライアントになりますよ」と言ってくれました。こうして、300件の新規顧客を獲得できたんです。
このように、自分の強みを発揮できるシチュエーションへと持ち込めれば、内向型の人でも商談を成功させることができます。ぜひ、実践してみてください。
(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『「静かな人」の戦略書』の著者ジル・チャン氏の来日講演ダイジェスト記事です。「The Salon」の公式Twitterはこちら)