決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏#14Photo by Shotaro Hamaguchi

数年前まで「時代の寵児」と称賛されていたはずが、一転して急失速した外食チェーンが「いきなり!ステーキ」だ。運営元であるペッパーフードサービスの業績も急激に悪化し、決算書には「疑義注記」が記されている。いきステが不振に陥った要因は「大量出店」だというのが定説だが、実はそれだけではない。特集『決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏』(全27回)の#14では、同社の決算書を徹底分析。好調時から潜んでいた「急失速の元凶」を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

「週刊ダイヤモンド」2023年6月24日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「時代の寵児」と呼ばれたはずが
今では決算書に疑義注記

「時代の寵児」と称賛されたのも今は昔。「いきなり!ステーキ」(以下「いきステ」)を運営するペッパーフードサービス(FS)が不振にあえいでいる。

 2022年12月期決算では19億円の最終赤字に沈み、決算書には経営危機に陥っていることを示す「疑義注記」が記されている。経営不振を理由に、創業者の一瀬邦夫社長は22年8月12日付で辞任した。

 ペッパーFSは自社が失速した理由を「いきステの大量出店に伴う社内競合」などと説明している。

 インターネット上では、いきステの会員サービス「肉マイレージ」の“大盤振る舞い”といえる特典に問題があったことや、その仕組みを見直したことが不振につながったと見る向きも多い。

いきなり!ステーキの定番メニュー「ワイルドステーキ」いきなり!ステーキの定番メニュー「ワイルドステーキ」 Photo by S.H.

 だが同社の決算書を読み解くと、それら以外にも不調を招くリスク要因を抱えていたことが分かる。

 そこで次ページでは、ペッパーFSが急失速した「元凶」を明らかにする。定説とされる「大量出店」などとは異なる、いきステの好調時から潜んでいた問題点とは――。