都合よく「いいとこ取り」は至難の業

 LIFULL HOME'S総研チーフアナリスト・中山登志朗氏によれば、賃貸住宅にオートロックが導入され始めたのは2000年頃からだという。今や新築の賃貸物件でオートロックではない物件は皆無と言って良く、「なし」物件を探すとおのずと築20年以上となる。それだけ年数がたっており、防犯面で見劣りするとなれば、物件オーナーとしては家賃を安く抑えてアピールするしかない。3位に入っている築年数とも連動する結果だ。

 4位以下の条件についても、「設備のはやり」がうかがえると中山氏は語る。同率4位は独立洗面所のありなし、および宅配ボックスのありなし、6位は風呂の追いだき機能の有無、同率7位はバス・トイレが別か否か、コンロが1口か2口か。これらの設備は、時代が新しくなればなるほど新しいものに更新されていくのが常だ。

 物件オーナーが賃貸住宅を建てる際、住宅メーカーは「今どきの賃貸では、こんな設備が人気ですよ」と提案する。人気の設備が入っていれば借り手が集まりやすく、建築費が少々アップしても、その分家賃を上げられるならオーナーにとっても悪い話ではないからだ。

 確かに、筆者自身が賃貸暮らしをしていた頃、独立洗面台、風呂の追いだき機能、バス・トイレが別かなどの条件は重要だった。少々家賃が上がっても、そっちを選ぶだろう。ネットショッピングが欠かせない今なら、4位の宅配ボックスの有無は重要条件になる。新しく建てられた物件ほど、その時代に人気の設備を備えているということは、「なし」を選択していけばいくほど、その物件が建った時代はどんどん昔へさかのぼっていく。オートロックなしだが築浅物件で、かつ宅配ボックスもあり、なんて「いいところ取り物件」を見つけるのは難しいのだ。