家賃を抑えても生活コストが高くなる場合も
最新の設備へのこだわりをやめて、少々古めの物件を選んだとしても、それで安心してはいけない。住み始めてから気づく“コスト”もあるからだ。
例えば、日当たりの良さは物件選びの人気条件の一つだが、実は「南向き」と「南向き」以外で家賃の差はほぼないという。
それどころか、家賃相場では「南向きの方」が安くなっているという結果が出た。日当たりが良すぎると夏は暑く、家具が日焼けしやすいとのデメリットも存在する。家賃は抑えられたとしても、冷房にかかる電気代が上がったり、遮光カーテンを調達しなくてはいけなくなったりと、家計負担が増えてしまうからだ。
筆者の経験だが、賃貸マンションの最上階に住んでいたとき、真上の屋上からの熱が室内にこもったせいで夏は熱帯夜地獄に苦しんだ。日当たりや見晴らしがいい物件にはそんな落とし穴もある。
気を付けるべきは部屋の向きだけではない。壁や天井・床の断熱性が高く、窓ガラスも遮熱性能の高い複層ガラスであれば、冷暖房の効率がいいので電気代が節約できる。逆に建物の省エネ性能が低ければ、夏は冷房を強めても部屋がなかなか冷えなかったり、冬はエアコン暖房では足りず、ホットカーペットや補助ヒーター等を併用しないといけなくなる。また、賃貸住宅に設置されているエアコンがかなり古い機種だったりすれば、省エネ性能が低いため電気代はさらにかかるだろう。
今どきはレトロな長屋タイプの木造賃貸アパートに住んでいる人は少ないだろうが、建物の省エネ性能も建てられた時代の基準に応じている。今後もリモートワーク主体で在宅時間が長いというライフスタイルの人ほど、部屋の向きと窓ガラスの遮熱性能には注意した方がいい。
また、「風呂の追いだき機能のありorなし」も、いちいち残り湯を捨てて新しく湯を張る必要があるので、水道料金が増える要因になるだろう。
家賃の安さに引かれて引っ越したはずが、トータルの水道光熱費が異様に高くなってしまった――なんてことではコスパ最悪としか言いようがない。