最新だけど電気代がかかる設備にも注意
一方、設備が整っていることが、生活コストを増やしてしまいかねないものもある。
「温水洗浄便座」や、「浴室乾燥機」ありの物件も快適さの点では便利だか、電気を消費する設備であることは覚えておきたい。夏は温水洗浄便座のスイッチを切ったり、浴室乾燥機の利用時間を短くしたり、節電の工夫が必要だ。キッチンのコンロがガスではなくIHタイプしかない物件も、節約面では不利といえそうだ。
とはいえ、人によっては必ず必要な設備もあるだろう。
7位にあるキッチンの「コンロが2口以上」は、料理の作り置きで食費を節約したり、自宅で外食代わりのごちそうメニューを楽しみたい人なら必須の設備だ。余談だが、LIFULL HOME'Sがこれとは別に発表している「譲れない絶対必須な『絶対条件』ランキング」では、近畿地区の京都・大阪・兵庫で「コンロ2口以上」がそろってベスト10入りしており、食へのこだわりが強い県(府)民性が垣間見える。
以上のように、築年数や設備は絞り込みやすく、わかりやすい判断基準になるが、物件選びでは意外な盲点もある。
それが、音だ。近隣からの音、周囲からの生活音がどの程度聞こえてくるかは、現地に行って体験しなくてはわからない。特にリモートワークで在宅時間が長いという人ほど、生活音は気になってくるだろう。しかし、建物の壁が厚く防音性能が高めの住宅ほど、家賃は高くなる傾向にあるという。これも快適さと家賃とが相反する例だろう。
物価高のご時世、家賃はなるべく安い方がいい。
しかし、金額重視で選んだ物件が防犯面で不安があったり、水道光熱費が相当かかったり、自炊に向かなかったりするのでは、最善手とはいえない。快適に住み続けられるかが、我々の「お金」にとっても大きな問題だからだ。
以前、若者に家計アドバイスをさせていただいたことがあったが、赤字に転落したきっかけが、想定外の引っ越しだったと聞いたことがある。家賃8万円の物件でも、引っ越しとなればかなりの金額が入り用だ。そのお金が捻出できず、やむなくカードローンを借り、返済のために、ますます貯金ができない事態に陥ったそうだ。たかが引っ越しでも、手持ちの貯金が乏しい世代では家計のバランスを大きく狂わせてしまいかねない。
建物の設備は当然のこと、周囲の環境も含め、どこを重視すれば快適に住み続けられるか、多面的に吟味することが大事だ。安かろう、ほどほどに良かろう、という掘り出し物件はめったにない。それを念頭に置いて、ベターチョイスをしてほしい。