イカやタコの釣り具「墨族(すみぞく)」が人気、社員が釣りを楽しむ動画でファンを増やす

――釣り針やルアーのメーカーだそうですね。

石塚 兵庫県は全国の釣り針の約9割を生産しています。その生産者の一社が弊社です。

 播州毛鉤の職人として働いていた父が地元に戻り、1950年に創業しました。創業当初は川魚の釣り針を製造し、主に関東の問屋さんに卸していましたが、川魚が減少したことから、60年代から海の魚用の釣り針や釣り具を作るようになりました。

――現在の主力商品は?

石塚 イカの釣り具ブランドである「墨族」です。墨族の主な商品は「エギ」「スッテ」などと呼ばれる、イカを釣る疑似餌です。

イカやタコの釣り具「墨族(すみぞく)」が人気、社員が釣りを楽しむ動画でファンを増やす代表取締役社長・石塚正敏(いしづか・まさとし)氏。1958年生まれ。京都産業大学経営学部卒業後、父親が経営していたハリミツ(91年に株式会社に法人化)に入社。専務取締役を経て、2000年に代表取締役社長に就任。

 もともとイカは夜に餌で釣るものでしたが、エギを使えば日中でも釣れることがわかり、今から15~16年前にエギで釣るブームが来つつありました。弊社も参入したところ、「よく釣れる」と評判になったのです。一時は生産が追い付かないほどでした。現在はタコ用のタコエギなどを「蛸墨族」というブランドで展開していて、こちらも好評です。

――なぜ、そんなによく釣れるのでしょうか?

石塚 エギのバランスがよいからです。イカがエギに食い付くためには、竿をしゃくって海中でエギを躍らせた後、静かに沈下させることが重要です。その躍る動きや沈んでいく姿勢のバランスが影響するんですね。

 あとはデザインとカラーリングです。イカ釣りは場所や時間帯、潮の色などによって、イカが食い付きやすいエギの「当たりカラー」が変わります。ユーザーさまや小売店さまの情報を基に、そのカラーバリエーションを豊富に取りそろえたことで、よい釣果を上げられるようになったのです。ちなみにエギのデザインのよさが気に入ってご購入されるお客さまもいます。