堅調な推移を続ける日本株
背景に日本経済の底堅さ
東京株式市場で日本株が堅調な推移を続けている。日経平均株価は、バブル崩壊後の高値の更新を続け、1990年以来、33年ぶりに3万3000円台を回復した。
日本株上昇の背景として、海外投資家による買いの動きや、日本株の割安感、東京証券取引所による上場企業に対する企業価値改善への対応の要請などが指摘されている。しかし、こうした動きだけでは、上昇相場の継続は見込みにくく、日本経済の相対的な底堅さが評価されているとみられる。
米国や欧州では、金融引き締めが続く中、銀行不安などの金融問題に対する懸念も払拭し切れていない。金融引き締めの効果はラグを伴い今後も続くと予想されており、景気の先行きに対する不安が強い。
これに対して日本では、日本銀行がインフレ率の上昇について目標である2%を持続的・安定的に達成する状況には至っていないと判断しており、金融緩和を続けている。加えて、米国や欧州などに比べ、日本は経済再開・正常化に向けた動きが遅れ、足元で景気の持ち直しの動きが明確となってきている。
23年1~3月期のGDP統計(2次速報)では、実質成長率が上方修正され、前期比年率プラス2.7%と2%台後半の成長が示された。経済再開・正常化に向けた動きを受け、個人消費が増加しているほか、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として打ち出されていた入国制限などの水際対策の緩和でインバウンド需要も急増している。
さらに、半導体などの部品の供給制約が緩和し、国内の自動車生産への下押し圧力も緩んだ。結果として自動車生産が回復し、国内の乗用車販売や自動車輸出、関連投資の持ち直しも続いている。