OPECプラスの協調減産に加え、サウジアラビアは自主減産を続けているものの、原油相場の上値は重い。主要国の利上げによる需要減退見通しと中国経済の回復の遅れが相場の足を引っ張っている。しばらくは両者の綱引きが続きそうだ。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)
産油国減産は支援材料だが欧米の
利上げによる景気減速などが頭抑える
米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル当たり70ドル前後、欧州北海産のブレントは70ドル台前半を中心に一進一退の推移が続いている。
懸念材料だった米債務上限問題は無事決着し、6月4日のOPEC(石油輸出国機構)と非OPEC産油国で構成するOPECプラスの会合では、サウジアラビアが独自に日量100万バレルの減産を打ち出すなど原油相場を支援する材料がなかったわけではない。
しかし、米欧の利上げによる景気の減速やエネルギー需要の減退観測は根強く、中国の石油需要の回復に対する懐疑的な見方も続いていることが相場の頭を抑えている。
次ページでは、5月中旬からの相場を振り返りつつ、原油価格動向の先行きを予測する。