7~9月に要警戒の「巨大円高」リスク、最恐の円高ドライバーであるヘッジ操作とは?Photo:PIXTA

トランプ関税の交渉期限、米経済指標の悪化の頃合いとなる7~9月期に米日市場のリスクオフ再燃を「転ばぬ先の杖」シナリオとして注視している。昨年8月初めにかけて、米国の経済指標の陰り、株安、金利低下が円高を招き、日本株をフラッシュクラッシュさせたイメージと重なる。再びこの展開になったとき、市場が十分に織り込めていない強烈な円高リスク要因として為替ヘッジ操作が挙げられる。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)

顕在化するかもしれない
円高リスクの正体

 日本は潜在的な巨大円高リスクを抱えている。その一部が表に出るのは、米景気・金利サイクルが下方転換する局面である。

 2022年以降、米国経済は高金利下にもかかわらず、堅調を保ってきた。しかし今、トランプ政権の撹乱的政策によって、いよいよ景気悪化リスクを排除できなくなっている。そこで顕在化するかもしれない円高リスクの正体、そのインパクト、投資家としての構えを考えよう。

 筆者は、4月18日付のダイヤモンド・オンラインのアンケートで、ドル円の予想値を6月147円、9月132円、12月末137円と回答した。当時は、先行き不安が渦巻き、ドル円もリスクオフで140円割れをうかがう場面だった。この円相場の予想値の流れは、リスクオフについて、5~6月緩和、7~9月再燃、10~12月一服というシナリオに基づいている。

 ドル円はすでに5月に148円台まで戻した。その後は、142~145円付近で推移し、リスクオフ感は緩和されていても、どこか相場地合いは重い。実は、そこにも潜在的な円高圧力がじわじわ効いているとみている。

 米国の政策不確実性と景気後退リスクが再燃する兆しが見え始めた今、日本は円高という構造的リスクを抱えている。そこに潜む見落としがちな円高ドライバーについて次ページで解説する。