部長・課長の残酷 給料・出世・役職定年#10Photo:SOPA Images/gettyimages

NTTの澤田純・会長がグループの大再編と並行して進めているのが、人事改革である。年功序列を優先してきたNTTグループが、職務の内容で社員の処遇を決める「ジョブ型組織」へと転換を図れるのか。NTTグループの主要6社の管理職2.6万人が強制的に“格付け”されるという「ジョブ型人事改革」の全貌に迫った。特集『部長・課長の残酷 給料・出世・役職定年』の#10では、ジョブグレードごとの年収水準を示した上で、主要6社の待遇の変化から「グループ内序列」の激変ぶりを明らかにしていく。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

「週刊ダイヤモンド」2023年4月1日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

ジョブ型人事でNTT33万人に激震!
最高グレードの年収は1800万円以上

 NTTグループが社員33万人を巻き込む大掛かりな人事改革に着手している。2020年7月から管理職を手始めに、職務の内容で社員の処遇を決める「ジョブ型」人事の導入を段階的に進めてきており、改革の総仕上げに入っているのだ。

 従来、NTTは年功序列や長期安定雇用を前提に人事制度を設計してきており、職務や勤務地を限定しない「メンバーシップ型」組織の代表格だった。誤解を恐れずに言えば、企業の都合の良いように社員を自由に配置転換できるので、“会社カラー”に染まったゼネラリストを自動的に養成するのに適した仕組みだったといえる。

 しかし、そうした従来の人事制度にひずみが生じるようになってきていた。

 NTTグループでは、同期で一番出世が早い一次選抜人材を「最早組(さいそうぐみ)」、一歩遅れた人材を「次走組(じそうぐみ)」と呼んでいる。バブル期には同期入社が3000人もいたというNTTでは、入社時から社員はふるいにかけられる。

 もっとも、最早組のエリート人材ですら管理職になれるのは30代半ばの10年選手を超えてから。年次や前ポストにおける年数要件を満たさないと昇格できないなど、人事の硬直性が弊害となって表れるようになった。

 そうした弊害を解消すべく進められているのが、今回の人事改革だったというわけだ。

 次ページでは、NTTグループの主要6社の管理職2.6万人が強制的に“格付け”されるという「ジョブ型人事改革」の全貌に迫る。6段階あるジョブグレードごとの年収水準を示した上で、主要6社の待遇の変化から「グループ内序列」の激変ぶりを明らかにしていこう。