写真:文部科学省の看板Photo:PIXTA

資産10兆円規模の「大学ファンド」が2022年度の運用実績で604億円の赤字を出したという。運用結果が時に赤字になるのは仕方ないが、大学ファンドの「素人丸出し」の運用方針には憤りを感じるとともに、呆れてしまった。(経済評論家 山崎 元)

10兆円の「大学ファンド」
運用実績が604億円の赤字に

 科学技術振興機構(JST)は7月7日に資産規模10兆円の通称「大学ファンド」の2022年度の運用実績を発表した。604億円の赤字だという。率に直すとマイナス0.6%だ。損益計算書上の当期利益は742億円だが、23年3月末時点での含み損が1259億円に上った。

 運用なので、結果が時にマイナスになる事態が生じるのは仕方がない。しかし、運用の中身を検討すると、「10兆円も抱え込んで、一体この人たちは何をするつもりなのか?」と憤りを感じた。

「素人丸出し」と言っては申し訳ないが、同ファンドは運用に対する根本的な考え方を変えた方がいい。

 ちなみに、同日に発表された日本の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の22年度の運用成績は、約2.9兆円の黒字で、運用資産はざっと200兆円あるので率にして1.5%のプラスだった。