深刻な人手不足「2024年問題」が迫る物流業界の変革を目指す気鋭のベンチャー、アセンド。同社を創業したのは、早稲田大学雄弁会の幹事長も務めた日下瑞貴氏だ。実は、日下氏に限らず、大学弁論部OBが起業する例が出ており、中にはメガベンチャーを育てた起業家もいる。一見、縁遠いようにも思える弁論と起業の関係とは。特集『知られざるエリート人脈 大学弁論部の正体』(全10回)の#6では、日下氏に「弁論部出身なのになぜ起業したのか」を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
物流業界のDX支援ベンチャー
創業したのは早大雄弁会OB
トラック運転手への残業規制の強化で人手不足が深刻化する「2024年問題」を抱える物流業界。運送会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援に取り組むのが、ベンチャー企業のアセンド(東京・新宿)である。
20年春に創業したアセンドは運送会社向けに運送管理システムを提供する。導入企業は、案件の受注から、配車、ドライバーの労務管理、請求までの業務が一気通貫でできる。売上高や利益はリアルタイムで把握でき、迅速な経営判断も可能となる。
さらに、アセンドが力を入れるのが、需給に応じて価格を柔軟に変動させる「ダイナミックプライシング」の導入だ。物流業界では、運送会社の多くが中小・零細企業のため、荷主側の立場が強くなりがちで、赤字受注も珍しくない。
アセンドは荷物の発送や発着地域、荷物の種類などのデータを活用して、AI(人工知能)で運送会社が最適な運賃を算出できるようにする。運送会社が適正な運賃を提案できるようになれば、物流業界が大きく変わる可能性がある。
業界の“救世主”ともいえる気鋭のベンチャーの創業者が日下瑞貴氏だ。実は、日下氏は名門弁論部の早稲田大学雄弁会の出身。日下氏は「政治家登竜門」として有名な雄弁会を経て、なぜ起業の道を選んだのか。
次ページでは、「弁論部出身なのになぜ起業したのか」の答えを明らかにする。実は、近年弁論部OBによる起業が目立っており、メガベンチャーを育てた起業家も存在する。弁論部に在籍した主なベンチャー関係者の顔触れも紹介していく。