知られざるエリート人脈 大学弁論部の正体#5Photo by Kazuki Nagoya

政界と並び大学弁論部の出身者が多く活躍する場がマスコミだ。日本経済新聞社やテレビ朝日といった大手メディアの首脳ポストを弁論部OBが押さえたこともある。今回、弁論部出身で大手紙やテレビ局などの幹部を務める48人をピックアップした。特集『知られざるエリート人脈 大学弁論部の正体』(全10回)の#5では、大手メディアに身を置く弁論部OBリストを初公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

マスコミ界は政界と双璧
日経やテレ朝の首脳も輩出

「マスコミ界は政界と並んで雄弁会OB群像の双璧である」――。

 名門弁論部、早稲田大学雄弁会の創立100周年を記念して2002年に発刊された『早稲田大学雄弁会100年史』は、そんな言葉と共に、マスコミ業界に身を置くOBたちの紹介に多くの紙幅が割かれている。

 しかも、マスコミとひとくくりにするのではなく、新聞界やテレビ界といった業界別に分けて紹介しているのも特徴だ。マスコミ界に多くの雄弁会OBが存在することの証左でもある。

 具体的なOB数も記載されている。当時、新聞社・通信社には131人のOBが存在し、会社別では「日経30人、朝日29人、毎日13人、産経12人、読売10人、共同通信7人、中日・東京4人、時事通信4人」とある。テレビ局も「NHK27人、フジ13人、日テレ6人、TBS5人、テレ朝4人、テレ東3人……」とOB数が明かされている。

 雄弁会だけではない。マスコミには慶應義塾大学弁論部などのOBも目立つ。

 そして、大手メディアの幹部に出世する者も多い。例えば、雄弁会の戦後2代目の幹事長を務めた新井明氏(1949年卒)は日本経済新聞社の社長に昇り詰めている。

 新井氏は、政治部長や編集局長、副社長などを歴任。リクルート事件に絡み当時の森田康社長が引責辞任したことを受け、88年に社長に昇格した。

 慶應義塾大学弁論部はテレビ局のトップを送り出している。その人物とは元テレビ朝日会長の広瀬道貞氏(58年卒)だ。広瀬氏は日本民間放送連盟(民放連)会長も務めた。弟の勝貞氏は元大分県知事である。

 では、大手メディアに弁論部OBはどれだけいるのだろうか。今回、ダイヤモンド編集部は東大、早慶、明治、中央の五つの主要大学の弁論部の資料や関係者への取材を基に、弁論部出身で大手紙やテレビ局などで幹部を務める48人をピックアップした。次ページでは、主要メディアの弁論部OBリストを公開する。