政治の世界とのつながりが深いとされる大学弁論部。だが、弁論部からビジネスの世界に身を投じ、大手企業の経営中枢に上り詰める者もいる。特集『知られざるエリート人脈 大学弁論部の正体』(全10回)の#8では、日本生命保険や伊藤忠商事、三井住友トラスト・ホールディングス、デロイト トーマツ グループといった大手企業の幹部などとして活躍する弁論部OBの顔触れを紹介する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
早大雄弁会OBの「4人に1人」は産業界
三井住友トラストHDのトップも弁論部OB
「雄弁会出身は政治家だけじゃないぞ!」――。
名門弁論部、早稲田大学雄弁会の創立100周年を記念して2002年に発行された『早稲田大学雄弁会100年史』。本書は、各界で活躍するOBの紹介ページの中でそう強調している。
政治家の“登竜門”と称され、政治との関わりが深い雄弁会だが、実はビジネス界で活躍するOBは多い。
『100年史』がまとめた集計によると、戦後の雄弁会出身者1165人のうち、製造業や流通業などの産業界へ進んだ者が全体の25%強を占めて最多だった。次いで、政界が21%強、マスコミが18%強と続いた。金融・証券は10%で5位だった。
大学弁論部の中でも政界における雄弁会OBの数は突出している。他大学の弁論部では、産業界に身を投じるOBはより多い。
そして、ビジネス界に進み大手企業の経営中枢に上り詰める弁論部OBもいる。三井住友トラスト・ホールディングス社長の高倉透氏は東京大学の弁論部出身だ。
高倉氏は金融機関に就職した理由について、「弁論部で議論する中で、自分はどちらかというと民間で具体的な経済の商行為に関わり、世の中を変えていく方が合っていると感じた」と振り返っている(本特集#7『東大弁論部OBの三井住友トラスト社長が明かす、弁論で培った「社会人必須のスキル」』参照)。
次ページでは、大手企業で幹部などを務める主な弁論部出身者20人の顔触れを紹介していく。東大や早大、慶應義塾大学、明治大学の弁論部出身の金融機関や商社、コンサルティング会社の現役幹部たちが登場する。