知られざるエリート人脈 大学弁論部の正体#4Photo:noboru hashimoto/gettyimages

5人の首相を輩出した早稲田大学雄弁会を筆頭に、大学弁論部はあまたのOBを政界に送り込んでいる。では、大学弁論部出身の政治家はどれだけいるのか。特集『知られざるエリート人脈 大学弁論部の正体』(全10回)の#4では、東大や早慶、明治、中央の主要大学の弁論部に在籍した政治家の顔触れを一挙公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

森元首相「同期生から督促され出馬」
主要5大学「弁論部OB政治家」を紹介

 同期生から出馬を督促されるようになり、自分でもその気になっていった――。

 早稲田大学雄弁会の創立100年を記念して2002年に発行された『早稲田大学雄弁会100年史』。本書に寄稿した雄弁会OBで元首相の森喜朗氏は、出馬に至った経緯をそう明かしている。

 2年先輩で後に参院議長を務めた西岡武夫氏や、2年後輩で首相となった小渕恵三氏が森氏に先んじて国会議員となり、元首相の海部俊樹氏、元官房長官の藤波孝生氏らOBも相次ぎ政界入りしていた。

 同期生から督促された理由については、「私(編集部注:森氏)が在籍していた当時の雄弁会の各学年から最低1人は国会議員が生まれ、例外は私の学年と1年下になった」といい、森氏の出馬を期待する声が大きくなったというのだ。森氏は新聞記者を経て、1969年の総選挙で当選し、32歳で衆院議員となる。

 もともと政治家を志して弁論部の門をたたく学生は多い。しかし、弁論部での活動やOBとの交流などを通じて、政治の道を選ぶ者も少なくない。雄弁会をはじめ長い歴史を持つ弁論部の伝統は、まさに政治家を育む土壌となっているのだ。

 もちろん雄弁会がOBを最も多く政界に送り込んでいる弁論部であることは間違いないが、実は、ほかの大学の弁論部も有力な政治家を輩出している。

 次ページでは、東大、早慶、明治、中央の五つの大学の弁論部出身の政治家を紹介する。弁論部OBの首相や衆参議長に加え、現職・元職の主要国会議員や現職首長の顔触れを一挙公開する。