セブンの死角 伊藤忠&三菱商事の逆襲#8Photo by Hideyuki Watanabe

ローソンは、コロナ禍というピンチを事業改革のチャンスに変えた。配送サービスに力を入れ、2024年度以降、売り上げ全体を10%以上伸ばそうとしている。同社の竹増貞信社長は、「今が、一番攻めの気持ちでいる」と積極的な姿勢を強調している。特集『セブンの死角 伊藤忠&三菱商事の逆襲』(全15回)の#8では、竹増社長に、親会社の三菱商事とのシナジー発揮など、成長戦略を余すところなく語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)

コンビニ業界から抜け出して
本気でオリジナルのEC業者を目指す

――ローソンは店舗と売り場の改装プロジェクトを実施しています。既存店への設備投資は、アフターコロナで収益に結び付きましたか。

 コロナ禍で朝や昼の来客のピークがなくなり、売り上げがドンと落ちました。でも、実はコロナ前に私たちが目指していた行動変容が実現している面があった。お客さまが(感染を避けるために)夕方、スーパーに寄らない。それで、近くのローソンで、夜ご飯の食材や翌日の朝ご飯を買いたいという「日常使いの需要」が見えてきたのです。

 その需要に対応するため、2021年から全店に生鮮野菜を置いた。冷凍庫やセルフで揚げ物を取れる商品棚を導入するなど、1年半かけて1万4000店を改装しました。先日、23年度第1四半期の決算が発表されましたが、チェーン全店の売上高は前年同期比で6.6%増となりました。人流が回復したのに加え、日常使いの品ぞろえを(お客さまに)評価いただいた結果だと思っています。

――インターネット販売(EC)はどのように強化しますか。

 ウーバーイーツや出前館などと協業してデリバリーサービスを行っていますが、まだ欠品などでお客さまに迷惑を掛けている部分がある。これに対しては、在庫を即時把握できるシステムを開発しています。来年度には改善できる予定です。

――取り扱う商品数や店舗数は変化しますか。

 食品だけでなく、電球や靴下など、大抵の困り事を解決できる商品点数(3500点)がわれわれの強みです。「ローソンから持ってきてもらえばいいんだ」と思ってもらえるよう、さらに品ぞろえを変えていきたい。

 店舗数でいえば4000店弱で、すでに人口カバー率で7~8割のところまできています。出店が密集している地域では、全店がデリバリー機能を持つ必要はないので、まずは5000店に増やそうとしています。

 次ページでは、三菱商事との“秘策”や具体的な出店計画、さらには、トップ交代についても語ってもらった。