三菱地所が米ヒルトンの最上級ブランドである「コンラッド」を冠したホテルを2026年に名古屋で開業する。三菱地所はリニア中央新幹線開業を控える名古屋駅前に不動産を持ち、そこを活用すれば成功必至のはず。しかし、実際の開業場所は名古屋駅前ではなく、栄エリアだった。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#6では、名古屋でのホテル開発を巡る三菱地所の社内事情と地元事情を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
名駅に消費シフト
それなのに栄で最上級ホテル
三菱地所は名古屋で、米ヒルトンの最上級ブランドホテル「コンラッド名古屋」を2026年に開業する。名古屋にはこれまで最高級グレードのホテルがなかったため、宿泊料金は名古屋で最も高い価格帯になること必至だ。
名古屋には二つの都心がある。一つは名古屋駅周辺の「名駅」、もう一つが名古屋駅から地下鉄で2駅の所にある「栄」だ。
歴史的には栄が名古屋一の繁華街だ。2000年代に入って名駅で大規模な開発が行われ、新しいオフィスビルや百貨店が開業すると、名駅が求心力を持った。両地区の百貨店の売上高を見ると、栄から名駅へ消費の場所がシフトしていることが浮き彫りになった。
リニア中央新幹線の開業に合わせて、名駅ではホテルを含めさらなる再開発計画が持ち上がっている。
にもかかわらず、三菱地所は最上級ホテルを栄に誘致した。名駅の一等地に大名古屋ビルヂングというオフィス兼商業ビルを所有しているのに、なぜ栄で勝負に出たのか。
次ページでは、三菱地所の社内事情、名古屋の地元事情を明らかにする。