「患者さんには、今、困っていることを診察室で自由に話してもらいたいです。話をしているうちに緊張もほどけてきますし、こちらも患者さんの言葉や動作から、今置かれている環境や状態を推察できるので、総合的な判断がつきやすくなるんですね。

 特に、お腹の病はとてもデリケートな疾病。治療には医者が患者さんの様子をじっくりと観察し、お話をうかがうことが必要です。そのためにも、基本的には、医者に何でもざっくばらんに打ち明けてほしいです」と石黒医師。
 
 ただし、病院の多くは沢山の患者を抱えているため、ひとりひとりに長い時間をかけることが事実上、難しいという問題もある。事実、治療とは関係ない世間話を始める患者もい
ると聞く。それをやられると、医者側も対処に困ることだろう。

 やはり、病に打ち勝つには、患者と医者がより的確な症状の情報交換をしなければならないのだ。そのために石黒医師は、患者に教えてもらいたいという6項目を挙げている。

医者が患者から
教えてもらうと助かる情報

1 いつから
2 どこの、どんな症状が気になっているか?
3 今までも、こういうことがあったか?
4 痛みに波はあるか?(ずっと痛いか、それとも時々、痛むのか?)
5 熱はあるか?
6 便通はどうか?(下痢なら1日何回、便秘なら何日に1回)

「医者にご自身の症状をうまく伝える自信のない方は、1~6の情報を記載したメモを最初に見せてください。ご質問があれば、併せて箇条書きにしてくれると助かります。『結局、言いたいことも言えず、聞きたいことも聞けなかった』という状態では、治るものも治りません。快癒のためには、患者さんと医者の共闘が必要ですから、この6項目をはじめに教えてくださいね」