50歳未満の若年性大腸がん増加中、「4つの初期症状」とは?Photo:PIXTA

 近年、世界的に50歳未満で発症する「若年性大腸がん」が増えている。

 肥満と高脂肪食の影響や、抗菌薬の過剰投与による腸内細菌叢の変化などが原因とされているが、確かな結論はでていない。

 増加率が深刻な米国では、大腸内視鏡検診の推奨年齢を従来の50歳から5歳引き下げ、45歳とする動きが加速している。幸い、日本ではすでに40歳からの「便潜血検査」が推奨されている。自宅で便を採取するだけの簡単な検査なので、必ず受けてほしい。

 大腸がんの兆候も覚えておこう。

 米ワシントン大学セントルイス校の研究グループは、早期発見につながる若年性大腸がんに特徴的な初期症状を調べている。

 研究者らは18~64歳の民間保険加入者のうち、若年性大腸がん患者5075人と、対照に選んだ2万2378人の9年分のデータを使い、自覚症状の有無と発症リスクの関係を解析した。

 その結果、若年性大腸がんと診断される2年~3カ月前までに頻発した症状は、腹痛(11.6%)と直腸出血/下血(7.2%)──鮮血、大量という痔の出血とは違い、少量の出血が持続してある状態で、最初は便の表面に血が付いている程度──、だった。

 症状と発症リスクの関連では、直腸出血が5.13倍、体内での慢性的な出血で生じる鉄欠乏性貧血は2.07倍、下痢が1.43倍、腹痛は1.34倍と、四つの症状が独立して発症と関係していた。

 また、4症状が重なるほど若年性大腸がんと診断されるリスクが高く、1個では1.97倍だが、3個以上では、およそ7倍に跳ね上がることも示されている。

 4症状のうち出血/下血以外は、大腸がんとは直接、結びつけて考えにくい。また鉄欠乏性貧血の自覚症状は倦怠感や動悸、息切れ、耳鳴りなど、一般的な貧血のイメージとはかけ離れているので、イコール出血とは考えないだろう。

 月経など持続的な出血の理由がない男性や閉経後の女性は、血液検査で血清鉄(Fe)やヘモグロビン値(Hb)が基準値以下の場合、便潜血結果と併せてかかりつけ医に相談してみるといい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)