このように、口で微妙な色を表現するのは難しいです。しかし、今の時代には“写メ”があります。うんちが何か変だなと思ったら、パシャリと撮って、医者に見せる。これで、双方の誤解は回避されます。うんちを恥ずかしく思う必要はありません。何故ならば、消化器内科医はうんちの専門家。うんちを見るのも仕事です。しかし、患者さんでたまにおられますが、現物は衛生上、持ってこないでくださいね(笑)」
ちなみに、血便は赤も気になるが、黒も血が混じっている可能性あり。白が連日、続いているならば、胆汁が止まっているかもしれず、胆石や胆管炎、酷いケースだと胆管がん、すい臓がんの恐れもあるそうなので、自分の便が硬いのか、軟らかいのかを把握するのと同時に、色も気にかけておいたほうが良さそうだ。
医者の喜びは患者の笑顔
有意義な「作戦会議」を
石黒医師は力を込めて、こう語る。
「医者の喜びは、患者さんが治って、笑顔になること。これがすべてです」
そのためには、我々患者側の協力は欠かせない。まずは、自身の症状を具体的に把握し、
医師に伝えることが大事だ。
残念ながら、お腹のトラブルは1回や2回の診察で完治とするほど簡単な病気ではないことが多いらしい。基本的には、状況に応じて、いろいろ薬を試しながら、長期戦で治療していくことがむしろ普通。ゆえに診察室は、病に打ち勝つための、患者と医者との“作戦会議”の場とも言えるだろう。
限られた診療時間の中で、医者が最大限のパフォーマンスを発揮するためにも、そして患者自身が「病を治す!」という方向に舵を切るためにも、意味のある“作戦会議”にするべく
これまで述べたことを参考にしてほしい。
次回は、共に病と戦うことになる医者を患者はどのように選べばいいのかをお伝えしよう。
【監修】石黒智也(いしぐろ・ともなり)
日本内科学会認定内科医/同・総合内科専門医/日本消化器病学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医/H.pylori感染症認定医/日本がん治療認定医機構 がん治療認定医/日本消化管学会胃腸科専門医/緩和ケア研修 修了医。1979年、岐阜県生まれ。2005年、岐阜大学医学部卒業。総合病院での一般内科、消化器内科、救急医療の研修を経て、胃・大腸内視鏡検査及び治療件数で全国有数の昭和大学横浜市北部病院・消化器センターに入局。「痛くない、つらくない」内視鏡の挿入法などを徹底的に学ぶ。2016年、神奈川県茅ヶ崎市にて「湘南いしぐろクリニック」開設。現在、「新横浜国際クリニック」「湘南いしぐろクリニック 鎌倉院」と合わせて3施設の医院を運営する医療法人社団MBSの理事長を務め、早期がんの発見やお腹のトラブル撲滅のため、日々研鑽を積んでいる。趣味はプロ野球観戦、サーフィン、カラオケ。医大生時代は本気で芸人を志したこともあり、お笑い番組も大好き。