私は「ブランドバッグのネット販売をされていますか?」と率直に聞いてみたところ、男性は「あぁ、またですか? うちは自動車整備しかやってないんですよ。私1人でやってる小さな工場なので。2カ月くらい前からそういった問い合わせが多くて困ってるんですよ。あなたみたいに来られた方も、ここ1週間で3人目ですよ。インターネットはうとくてどうしたらいいか、分からないんですよね」と会社の名前を勝手に使われて男性も困っているようでした。
私としては予想通りの展開でした。さつきさんに状況を報告して、その日の調査を終了しました。
数日後さつきさんから連絡があり、A社のWebサイトが、なんの返答もなく閉鎖されたそうです。
さつきさんは有名ショッピングサイトに、問い合わせてみましたが、返金を含めての全ての対応は販売業者に任せており、出店ストアに対する審査については、本人確認書類による存在確認などを実施はしているが、一部対応できていないストアもあるとのことでした。「A社」は対応できていないストアに該当していたそうで、どうすることもできないという回答だったそうです。
さつきさんは「泣き寝入りするしかなさそうです」と、うなだれている様子が想像できるような声で話しました。
偽物を売った
販売業者に動きが!
数週間後、さつきさんから電話がありました。「片岡さん! あのA社とそっくりな、本当にコピペしただけのようなサイトをみつけました! サイトのアドレスを送りますので見てみてください!」とのことで、早速送られてきたアドレスのサイトを開くと、さつきさんの言う通りでした。さつきさんが購入した偽物のバッグも金額から説明文まで全て一緒でしたが、A社のサイトと違う点が三つありました。それは販売店の会社名が「B社」で、所在地が埼玉県、そして電話番号が記載されていることでした。
私はすぐにさつきさんの了承を得て、スマホから電話をかけてみました。