税制変更を心配する前に
まずは自社の制度の把握を

 そもそも制度改正の目的が労働市場の流動化を促進するということであれば、退職間近い人たちではなく、比較的若い層の人たちを想定した内容になるはずである。

 したがって、退職金課税制度変更の心配をする前に、もっと大事なことは「自分が勤めている会社の退職給付制度が一体どうなっているのかを知っておく」ことである。会社によっては退職給付制度全体の中で一時金と年金の割合を自分で決めることができるところもあるし、中には退職一時金の受け取りを先送りすることができるという会社もある。

 退職金というのは一時金のことだけではない。「確定給付企業年金(DB)」や「企業型確定拠出年金(DC)」もある。まだ決まってもいない税制の心配をするよりも、自分が所属する組織の退職給付制度の中身をしっかり把握することから始めるべきだろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)